18 歩く(?)文房具箱
「光ちゃん、ねー、光ちゃん!」
んむ~。あんみんぼうがいだよぉ~。
光です~。
「んみゅ~?」
「セロテープ持ってない?」
それだけ~?
まぁいいか~。
え~っとセロテープセロテープ~……。
「はい~」
「ありがとっ」
さて~、お昼寝再開~。
あ~、今は給食が終わった後のお昼休みね~。
「ひーちゃん、糊貸して!」
酷いよ~、いま寝ようとしたばっかりなのに~。
「糊ね~」
「……あ、やっぱりボンドない?」
……今出そうとしたところなのになぁ~。
また探さないといけないじゃない~。
「はい~、ボンド~」
「ありがとう」
あ~、あのね~、私は学校でちょっぴり有名な歩く(?)文房具箱なんだよ~。
はさみに糊~、セロハンテープから色鉛筆まで~、いつも持ってるポーチから文房具なら何でも出て来るんだよ~。
どこぞの青い狸猫のポケットとは違うからね~?
文房具限定だもん~。
それでは~、私はまたおねむの世界へ帰ります~。
「高山ー、おい、高山!!」
……酷いよ~。今寝ようとしたばっかりなのに~。
「カッター持ってねーか!?」
また借り物~?
ん~と~……カッターは~……と~。
「はい~」
何に使うんだろ~。
今度こそお休みなさい~。
「お、おいっ!! カッターとか持ってくんな! あぶねぇよ!!」
ドタバタドタバタ
……んみゅぅ~。
あんみんぼうがいぃ~。
カッター持ってくんなって言ってたね~。私のかな~?
安眠の為~。見てこよう~。
「…………」
これは~、危険だね~。
だってね~、私が貸したカッターを喧嘩相手に向けてるんだよ~。
危ないよ~。
「返して~」
「はっ? なんでだよ」
なんでもへったくれも無いよ~。
「危ないからだよ~」
「だーいじょうぶだって。俺様なめんな!」
俺様って~……。
それよりも~、
「なめないよ~、こんな不味そうなもの~」
「ま、不味そう? 俺様って不味そうなのか!? くそーっ!!」
え~? なんで怒ったのこの人~?
しかも何か相手に突っ込みそうになってるし~。
……って~! カッター持ったまんまじゃない~!
しょうがないな~。
「えい~」
どかっ
「高山光の膝蹴り!! 見事に決まりましたァッ!!」
誰かさん実況ありがとう~。
え~っと~、カッターカッターっと~……あれ~?
「どこ行っちゃったの~?」
「電気の上だ! 何か落ちそう……って」
落ちてきた~!
しかも刃が出たまんま~!
「みゅ~!」
パシッ
「お見事っ! 怪我一つ無くカッターを掴みました高山光、意外と反射神経はいいようです!」
再び実況ありがとう~。
でも意外とってどういう意味~?
さて~、お昼寝お昼寝~♪
がらっ
「光! 果物ナイフ持ってるか!?」
岳お兄ちゃん~……。
何に使うの~!?
もちろん光は果物ナイフなんて持っていません。あしからず。