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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
二月で暴走中
17/410

17 まだ寒いのに

「純兄ー行くよー」

 なぜ俺が待たせてたみたいな言い方をする。

「待たされたのはこっちだ」

「知ったことか!」

 それで済ますな。

 純だ。

 今、学校に行くため、外に出たところ。

 大分温かくなってきたとはいえ、まだ寒い。

「寒い寒い寒い寒い寒い!」

「大声で叫ぶな、五月蝿い」

「暑い暑い暑い暑い暑い!」

「叫ぶなと言ったのが聞こえなかったかコラ」

「あ、余計寒くなるから止めろって意味じゃないのか」

 いつ誰がそんなことを言った。

「にゃ~」

「にゃ~」

 ……毎朝の恒例行事。忍が猫を呼び出す。

 寒い中待たされるこっちの身にもなって欲しい。

「ナ~ん」

「ナ~ん」

 ……お?

「珍しく短かったな」

「皆忙しいそうな」

 猫って飯食って寝てるだけじゃねぇのか? 昼間は。

 あ、ちなみに忍は猫語が分かるらしい。

 小っこい時から猫に話しかけてたからか?

「……ひーまだー」

「歩いてるだろ」

「足以外が暇」

「寝てろ」

「ぐぅ」

 ホントに寝るなよ。

 目は半開きだから意識が半分ぶっ飛んでる程度だろうが。

「半寝」

「……それ言ってる時点で寝てねぇだろ」

「ん~……ま、それもそっか。……んむ?」

 伸びをしたと思ったら、空中を見て固まる。

「純兄ー、あっこ何か居る? 何かちとぼやけてんだけど」

 ……あっこ、を見てみたら……居た。

 面倒そーなのが居た。

 面倒そーなの=幽霊という式。

 どー言うわけか俺は物心ついたときからこういった類のものが見える。

 忍や岳はぼやけたものが見える程度。

 光は気配を感じるだけなのに俺にははっきり見えるんだなこれが……。

 そいつ等に会っていい思いをしたことは一度もねぇ。

「居るんだ、やっぱり」

「居るけど……ほっといていいか?」

「どんな奴?」

「落ち武者」

「よしほっとこう」

『ちょっ!? 待て待て待て待て待てぇい!! 何故わしをスル「面倒だから」酷い……』

 面倒なものはほって置くのが一番だ。

 前、下手に関わった自殺した爺さんの霊に延々四時間、人生論とやらを語られたからな……。

 あれは地獄だった。

「純兄、ごろごろ聞こえるけど何言ってんの? 落ち武者」

「何故スルーするかと」

「可愛くない。めんどくさい。可哀想に思えない」

 あ、石化した。

「後遅刻するのはごめんだしね。……あ、後」

 一息すって……。

「オバケの旬はまだまだ先だしね」

 がらがらがら。

 崩れた。

 にしても旬って。おい。

 食う気か?

『わ、わしは旨くないぞ!!』

「るっせぇ。とっとと成仏しやがれ」

 ってか復活早ぇな。

『一人では寂しいではないか!』

 気色悪ぃ。

「そこらに漂ってる霊でもいっしょに連れてけ。じゃな」

『わしをほっとく気か!?』

「最初にそう言ったろ」

『おぉ、そういえば』

 ったく。結局関わっちまったな。

 早めに出てて良かった。

『……言っておったか?』

 ……キレていいか?

 とりあえず、周りに忍以外誰も居ないことを確認してとび蹴りをしておいた。

  


後日、落ち武者はそこら辺のすずめの霊と成仏したようだった。

……結局一人で行かなかったのかよ。

昨日の答え。


『絶対鮇烏賊?』→『絶対いわないか?』で、絶対言わないか? でした!

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