168 ある意味謎の高山家
ぴーんぽーん
…………あら?
変ね。返事がないわ。
家の中から声聞こえてるのに。
玲奈よっ。
忍と桜、篠と遊ぶ約束してたんだけど……。
『はい』
「えぇっ!? 高山!? 何で居るの!?」
『……鈴木か。表札を見ろ、馬鹿』
あ、高山……。うっかり忍と高山が兄妹だったこと忘れてたわ。
「べ、別に忘れてたわけじゃないわよっ」
『はいはい。忘れてたんだな』
「忘れてないわよっ」
『……インターフォン越しでいつまで話し続ければ気が済む?』
『あ、悪い。とりあえず、忍出ろ』
え? もう一人男の人の声がしたけど……誰?
「やほー、玲奈。おいでおいで」
「あたしは子どもじゃないわよっ!」
「成人してなかったら子どもだもーん」
言い方が悪かったかしら。あたしは幼児じゃないわよっ!
「まーいいからおいでって」
「お、おじゃましますっ」
これ、言わないとなんだか落ち着かないわよね。
「あ~、新しい人だ~! 食べる~?」
妹ちゃん?
えぇと、手に持った黒いモノは何かしら?
「光、毒しまいなさい。食べさせるのなら純兄に」
ど、毒!? 高山にならいいの!?
「了解~」
了解するの!?
「ねーちゃん! なっくんが……なっくんが死んでるっ!」
な、なっくんが死んでる!?
なっくんって海中の事よね!?
……弟くん達とも仲いいのねぇ。
「勝手に殺すな!」
「お、復活?」
「お兄ちゃーんっ! 岳くん!」
「……も一個味見」
えぇと……海中の妹?
手に持った奴って、さっきのあの毒みたい……。
『勘弁してくれぇえええええええっ!』
あら、海中って家の中じゃいじめられる方なの?
「ちなみに。元気な方がなっくんの妹ではーちゃんこと春、おとなし……そうなのは美咲ちゃんの妹にしてはーちゃんと光……ってさっきの妹ね。の友達」
妹持ってる人多いわねっ!?
「村田に妹っていたのね」
「全然似てないよね~」
あ、桜。
「なかなか来ないから降りてきちゃった」
「ごめん。玲奈が「あたしのせいじゃないわよっ!」まだ何も言ってなぁい」
玲奈がって言いかけたじゃないのっ!
「あぁもう、とっとと帰れ!」
「……篠と高山、けんかでもしてるの?」
妹と弟は一人ずつとしか聞いてないし……。なら、上には篠と高山しか居ないわよね?
あ、さっきのインターフォンの途中で入ってきた人と?
「ううん。純くんったら、何もない所とけんかしてるんだよ」
「……高山って、頭大丈夫?」
「だいじょぶだいじょぶ。ところで玲奈。あたしも高山」
どうしろって言うのよ。
「と言う訳で純兄のことは純でよろしく」
え。
「無理よっ!」
「何で!?」
そんなに力一杯聞くこと!?
「だ、だって……向こうだってあたしのこと鈴木だし……。いきなり名前で読んだら引かれるでしょ?」
「そーかな?」
「そうよっ」
多分っ。
「じゃあ純兄にも言っとくね。玲奈のこと鈴木じゃなくて玲奈って呼んでって」
そ、そういう問題じゃなくて……。
「会談で話すのって首疲れるから、さっさと行こ」
無視? 無視なの?
「篠~。純くんどんな感じ?」
ちょっと……ドアの隙間から何覗き見してるのよっ。
「とてつもなく高度なパントマイムしてるぞ」
き、気になるわねっ。
「あ、投げられた」
『ホント!?』
あ……、別に気になったわけじゃないわよ!
「じゅーんにー。妙羅ー、見られてるの気付いてる?」
『気付いてるからちょっと黙ってろ!』
あら、変ね。今高山……じゅ、純の声ともう一つ声が聞こえたような……。
「純くんが怒鳴るところなんて初めて聞いたよ~!」
「あたしも」
当然、あたしも
「妙羅って?」
「今純兄と喧嘩してる人」
『え?』
だ、誰もいないわよ……?
まさか幽霊とか言わないわよねっ!?
「妙羅、純兄が変人みたいになってるからさー。姿とか出せない?」
「…………」
「あそ。んじゃあ純兄、変人続けて」
え?
「殴られてぇか?」
い、今の声本気だったわよ……? イラついてるのかしら。
「誰? 妙羅って」
「だから、今純兄とけんか「そうじゃくて!」えー、幽霊ダメな人ー」
「は~い」
あ、桜って幽霊ダメなの?
あたしは別に大丈夫よ!?
「幽霊ではないのでご安心下さーい」
「よかった~」
本当に幽霊だったらどうもしないけどどうしようかと思ったわ。
「妙羅は死神だからっ☆」
『帰るっ!』
何で死神が家にいるのよっ!
高山家って、何なの!?