164 当たった……けど
「岳!」
「何?」
「見ろ!」
……んと。
顔はおっさん、体は女。頭に触覚で背中にはカブトムシみてーな羽。
ある意味不気味だっ!
岳だ。
「父さん、これ何?」
「男女虫パペットだ!」
「…………あぁっ! 懸賞の!」
「そうそう」
「むっだなモン当たったなぁっ!」
しかも何? 三体も当たってね?
「でもなんか嬉しくない?」
「全っ然全く欠片も嬉しくねーよ!」
送ったのオレじゃねーし。
「似たような言葉合わせるなぁ」
「それだけ嬉しくなかったから」
「あはは、はは、はぁ……」
うぁ、落ち込んだ。
ああああああカビが生えるぅっ!
というのはまぁ置いといて。
「どーすんのこれ」
「どーしようこれ」
「いらんモン応募すんなよ!」
「以後気を付けます」
「これ二度目なんだろーが!」
「三度目は気を付けます」
「二度あることは三度あるって!」
「じゃあ三度目も応募「せんでいい!」」
全く。
どーすんだよ、これ。
「ところでさー、オレの応募した3○Sは?」
「無いよ」
「えー」
「いやえーじゃなくて」
んじゃどう言えと?
「アッチ向いてホイ」
「あっ、負けたぁああああっていきなりなんだよ!?」
「いや、なんとなく」
突然すぎだろ……。
「そんな事より岳」
「話を逸らしたのは父さんだろがっ!」
「そんな事より、これを見ろ!」
ばばーん!
男女虫パペット。
「いやこれさっき見たから」
「よく見て」
よく?
ぶ、ぶぶ、ぶぶぶぶぶぶぶぶ……
うぉ、羽動いた!
「飛ぶのかこれ!?」
「いんや」
「んじゃ何で羽動いてんだよ!」
「飛ぶようにしたかったけど飛ばなかったらしい」
で、羽が動くだけ?
「ほら、忍が何年か前にドラ○もんの人形? 貰ってたろ。あれの頭についてたタケ○プターが動いたのに飛ばなかったのと同じだ!」
「あれ、扇風機だったし」
意外と風来た。
手のひらサイズだったのに。
「全然同じじゃねーじゃんか!」
「こ、これだって涼しいぞ?」
ぶぶぶぶぶぶ、ぶ、ぶ、ぶ……
「……止まったけど」
「電池切れた」
「早っ!?」
最初だからか? 試し用の電池だからか?
「んーと、あれ、電池交換するところ無いんだけど」
「はぁ!?」
「ま、いっか。電池の無駄だし!」
最初っから貰うなよって気になんだけど。
「あ、忍ー、いる?」
「いらん」
「……岳、何か忍がそっけない」
知るか!
「ほんとーにいらねーだけじゃねーの? ってか、絶対そーだろ」
「あ、光ー、いる?」
「いらな~い~」
「……岳、なんか光もそっけない」
いつもどーりだったと思うけど?
「あ、じゅ「いらん」せめて最後まで言わせろっ!」
「はっ」
「わ、笑われた……すっごい馬鹿にしたみたいに笑われた……」
馬鹿にしてたんだろ?