161 桜って意外と
「ちーがーうー! やからな! ここがこーなってあーなってこうなんねん!」
「こーなってあーなってどうなるんだよ!?」
「逆切れすなや! えぇか! もっかいやんで!」
……桜が、壊れた。
「……桜って、関西出身なのか?」
「んー、あ、そう言えば保育園の時に引っ越して来たんだよ! 最初はモロ関西弁だったんだ」
「シジミと保育園同じなんだ」
「うんっ……って、僕はシジミじゃなぁい!」
忍でーす。
ある日、ある時、ある学校で。桜が清を教育し始めました。
数学の、一年の所からやらせてたりしちゃってる。
「一次方程式位解きいな!」
「無茶言うな!」
「言うとらんわアホ!」
………………。
『やっぱ、壊れてるよなぁ』
うんうん。
「あ、あれは素なのかしら?」
「極度に興奮したらこうなるとか?」
おー、漫画か何かのキャラに居そう。
「しののん! じゅんじゅん! お仕事の時間でぇぃす!」
知らんがな。
ってか、部長! そこ出入り禁止のベランダ!
「忍、逃げるぞ」
「アイアイサー」
ダッシュ
「行けっ! ハルやん!」
「俺はポ○モンか!」
とか言ってしっかりドアから入ってくるくせにぃ!
は、挟み撃ち……。
「よし、強行突破の方向で」
「アイアイサー」
と、言う訳でマコちゃんちょっと蹴るよー。
「……運動神経悪いとか思ってる?」
「うん」
見た目と性格からなんとなく。
「情報収集力、零」
何課の試験ですか、先生。
とか思ってる間に……足払われて押し倒されちゃった。
「ごめーん純兄、捕まった」
「俺に被害が及ばないなら何も問題ねぇから心配するな」
兄として酷いとおもいまーす。
「変態眼鏡、忍から離れなさい!」
「……へ? あ゛」
よし、脱出。玲奈ナイスだ!
「もぉーっ!」
あ、桜……怒ってる?
「五月蠅いで! 清が集中でけへんやんか!」
こっちに!?
「いやー、オレが集中できねーのは部活行ってねーからうぁああああ大会近いのに休むからぜってぇ後輩に殺されるぅうううう! という恐怖のせ……あ、いえ、嘘です。ごめんなさい桜様」
な、情けない……。
「えっ、えぇと……な、何かごめんねっ! オカルト部隊、今日は引き上げます!」
ちょっと待ってよ。二音くらいおかしなモノがくっついてたような気が?
部隊? あれ? 部じゃなくて? 前に自称がつくけど部じゃないの?
「清、ウチかて大会近いねん、分かったらさっさとやるっ!」
「なら夏休みでもいいじゃねーかよ!」
「甘いッ! アンタが夏休みだけでこーんなたぷたぷ溜まっとる苦手潰せるわけないやんか! せやから今……」
こ、今度は説教始まった……。
「ねぇ、忍。皆何部入ってるの? き、気になってるわけじゃないわよ! なんとなく……」
気になってるんじゃないか。
「んーっとね、確か清はサッカー部でー……しーちゃんはテニス、なっくんとついでに美咲ちゃんがバスケ」
「美咲ちゃんって、まだ続いてるのね……」
一度ついたあだ名はそう簡単に変わるものではない。
「んで、桜がー……卓球」
「嘘っ!? あ、あんなにのほほーんとしてぽよよーんとし「分かったらさっさとやるっ!」……い、今はともかく……試合とかできるの?」
「前に見たけど、もうこれでもかって位速い球打ってたよ」
「えええええっ! 凄いのねぇ。別に凄いとかは思ってないわよ?」
どっちさ。
「後で聞いたけど、普通のスピードらしい」
「凄くないじゃないのっ!」
卓球って絶対動体視力と反発力と、えぇと、とにかくなんかそんなの必要だよねー。
「あぁもう! 何でそれがそないなんねん!」
「えっ!? 違うのか!?」
「全然ちゃうわ!」
……桜を一言で表すと。
怖い。