157 大惨事です
「初プールだー」
「そんなテンション低い声で言われても~……」
「だーってさ、プールって着替え面倒じゃん? 入ってる間はいいけど……」
オマケに、しーちゃんも桜も見学でしょ?
んでもってその理由は水着忘れでしょ?
うぅ……あたしも忘れてくればよかったかも。でも成績下がったりなんかしたらやだしな~。
「何でこんなに見学が多いのよっ!」
「玲奈さん、そこは怒っても仕方ありません。次からは忘れずに水着を忘れるようにしましょう」
「美香っ!」
「冗談です」
冗談の分かりにくい人だねっ!
隅の方で体育座りして、さらにこんなこと言うから何か怖い。
「玲奈、友達できたんだ」
「余計なお世話よっ!」
「お世話をする気はさらさらありませぬ」
「誰よっ!」
さぁ~?
しいて言うなら一t法師?
「玲奈さん、忍さん、皆さんすでにプールに入っています」
『えっ』
いつの間に?
「冗談です」
『ややこしいわっ!』
「というのが冗談です」
『ややこしいというに!』
ふふ、とか言って笑わないでほしい……。
「ほらーっ、そこ二人、早く入りなさい!」
あぁもう、中森がややこしいことするからぁ~!
…………って、
『温っ』
まだ二時間目ですよー?
太陽さん、もーちょっと遠慮していーですよー。
遠慮されすぎたら寒くなるし、前言撤回。
「はい、じゃあウォーキングー。あっちまで。よーいどん!」
競争じゃないのに。
「あっちまで行ったらランニングで戻ってきてよ!」
水の中でどう走れと!?
「と、とりあえず行きより早く足を動かせばいいのかしら?」
「そっかー、じゃあそれでいいんじゃない?」
「……適当に返してる?」
「うん」
ほらほら、怒らない怒らない。
「はーい、じゃあ、水に慣れるために十回潜って! いーっち」
潜りました。
息を思いっきり吐いて、うっかり鼻から水を吸い込んでしまいました。
「げほげほげほげほげほげほっ」
「ちょっ、ちょっと!? 忍!? 心配はしてないわよっ?」
じゃあ何で声かけてきたのかな!?
ふぅー、落ち着いた。
「さーんっ」
うぁ、二回目潜り損ねた。
『ぼこぼこ……こ、ここは何処でござるか……』
「ぷはっ」
さて、なぁんでまた一t法師がこんなとこに?
「せ、先生! 何か底に変な虫がいますぅ!」
「みずでちゃっちゃっと追い出しといて」
一t法師、虫扱いされちゃったよ。
「沈んでるんです! しかも底に埋まってるの!」
あれ、そーだっけ。
潜り。
探し。
見っけ?
…………穴、開いてるんですけど。
水、抜けてるんですけど。
ってか、そもそも人間……いや小っこいけど。って、浮くよね!? 重くても!
お相撲さんでも!
一t法師って……どーなってるんだろ。
「先生! 三階の廊下の天井の穴から、水が……」
「はぁっ!?」
「本当です!」
今年はプール授業、無しかもしれない。
……あ、九月もあるか……。