表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
七月だから暴走中
152/410

152 ジャンケン

「……うぁ」

「あら? 高山、どうしたの?」

「雨、さっきまで小降りだったのに……」

「……あぁ、傘忘れたの」

 違う。

 純だ。

「忍の奴、いつの間にか傘盗りやがった」

 折り畳み傘、鞄に入れてたはずなのに。

 居残らなきゃよかった……。 

「なっさけないわねー」

「そういう鈴木は何でここに居るんだ」

「べ、別に傘忘れたわけじゃないわよ!?」

 ……へぇ。

「テメェそれだから、ダウト弱ぇんだよ」

 今日の昼休み、清のトランプでやってたんだけど……こいつ、演技力の欠片もねぇし分かりやすいったらありゃしない。

 忍と桜が強かったな。

「悪かったわねっ!」

「誰も悪いとは言ってねぇよ」

 こいつ、ばばぬきも弱ぇんだろうな。

「やるか、ダウト。雨がやむまで暇だし……」

「いいわよっ、やってやろうじゃない! ま、負けても知らないわよ……」

 絶対自信ねぇな、こいつ。

「でも。二人じゃつまんねぇな」

「そもそもアンタ、トランプ持ってるの?」

「まさか」

「……元からダウトなんてできないじゃないの……」

 やる気もなかったけどな。

「ねぇ高山、じゃんけんしない? 別にアンタが弱いとか思ってるわけじゃないわよ?」

 思ってんだな。

「……出さ者負けのジッケッタ」

 俺はパー、鈴木はグー。

「ズルいわよっ!?」

「知ったことか」

「知っときなさいよ!」

 嫌だと言ったらどうなんだ?

「もっかいよ! ジャン、ケン、ポン!」

「俺はジャンケンホイを推する」

「知らないわよそんなこと!」

「知っとけよ」

「嫌よ!」

「…………」

 あぁ、会話が続かなくなるんだな。

「あ、悪い。お邪魔だった? すぐ出るから……」

「邪魔じゃないわよっ!? 余計な事言わなくていいんだから!」

「え、あ、ごめん……?」

 余計?

「村田、テメェバスケ部?」

「おぅ、それがどした?」

「続きがあるとでも思ったか?」

「……やっぱお前、高山と兄妹だよなぁ」

 ……俺も高山なんだけど。

「ほらっ! さっさと行かないと練習時間減るわよっ!」

「タオルだけ取ったら出るって」

「高山っ! ジャンケンの続きよ! 一回もまともにやってないじゃない!」

 二度しかやってねぇし。

「ジャンケンホイ」

「速いわよっ!」

「テメェが遅いだけだろ」

「何よっ!」

 叫ぶの好きだな。

「行くわよ! 今度はちゃんとよ? ジャン、ケン、ポン!」

 俺はチョキ、鈴木はグー?

 ぺん

「待て、いつからたたいて・かぶってジャンケンポンになった?」

「不意打ちだったら普通に叩けるのね……」

「ん? カウンターを打っても良かったとでも?」

「よくないわよっ!」

 全く痛くなさそうだったから別にいいかと思ったんだけど……。

 よく考えたら女子に叩かれるのって微妙にイラつく気がする。

「ジャン、ケン、ホイ」

 パシッ

「あ、防いだわねっ!?」

「防がなかったら『かぶって』の部分が無くなるだろうが?」

「何よっ! 二度連続で負けたくせに!」

 ……関係あるのか?

「あ、雨やんだか?」

「やんでないわよ。ちょっとパラついてる程度だけど」

「それくらいなら大丈夫だ。また降ってくる前に帰る」

 出た途端降ってきたら最悪だけど……。

「そう、ならあたしも帰るわ。別にアンタが帰るからじゃないわよ!?」

「その『別に』は口癖か?」

「そんなに言ってないわよ!」

 言ってる言ってる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ