15 志望校は
「純兄~」
「……あ?」
「暇」
「……りんご食ってんじゃねぇか」
それでも暇なもんは暇なんだもん。
だって、食べてはいるけどそれ以外してないんだもん。
「暇ー暇ー暇ー」
「俺にどうしろってんだ」
さあ。
「純兄は何してんの」
「暇つぶし」
結局純兄も暇なんじゃないか。
何か雑誌みたいなの読んでるけど。
「それ何?」
「学校で貰ったろ。府内の私立校ガイド」
「ふーん。純兄そん中に行きたい高校でもある「無い」……」
即答かい。
「でも忍に合いそうな学校な「どれ?」……これ」
純兄の背中から覗き込んでみると……。
……おい。
「コレ男子校」
「あ? お前男じゃなかったか?」
「妹という事まで忘れたのかオイ!!」
兄としてどーよ。
「『まで』って、俺が何か他に忘れたことあったか」
無いよ。多分、きっと、恐らく。
「ま、冗談だけどな」
おい。
がちゃ
「あれ、ねーちゃん何してんの?」
「りんご食べてんだよ。見て分かんない?」
あ、そうだ。言い忘れてたけどここ、純兄達の部屋ね。
「見て分かるけど何でオレ等の部屋で食ってんの」
「暇つぶし」
「納得」
納得早いねー。
で、
「岳は何しに来たのさ」
「ここオレの部屋!」
「オレの部屋に何しに?」
「えっ!? えーっと……暇つぶし?」
「何でその二人そろって暇つぶしがここなんだよ」
『なんとなく』
「…………」
なんとなくに勝るものなし!
「そーいやさ、純兄って志望校決まってんの?」
「……ある意味」
と言うと?
「歩きまたは自転車で通える公立校」
「へぇ……って、二校しかないし」
水ヶ丘高校か第二水ヶ丘高校。
「……に、行けって親父が言ってた」
「それあたしまである意味決まったようなもんじゃん!?」
あ、そー言えばあたしもおとーさんにそんな事言われたような気が……。
「ま、言われなくてもそうするつもりだったけどな」
「へぇ?なんで」
「遠い学校とか行くのめんどくせぇ」
「大いに納得」
って言うかあたしもその部類だし。
「んじゃ純兄が行きたいのは第二水高」
「そうなるな」
「の?」
第二水高は普通科のⅠ類とⅡ類文理系があるんだけど。
「……ま、Ⅱ類受けるつもりでやってたらどっちでも大丈夫だろ」
……考えてないんだね。
「あ、なっちゃんが言ってたんだけどね」
なっちゃんって言うのはおとーさんの妹ね。
つまり叔母さん。
「Ⅱ類はクラス替え無いんだって」
「……だから?」
あー、はいはい。気にしないね、そう言うのは。
ん~、でもどうするかな、あたしも。
こないだ進〇ゼミの模試出したけど、第二水高Ⅱ類は55%で努力圏だったんだよね。
Ⅰ類は90%で安全圏だったけど。
英語が100点中35点という……。
その他の教科もそこそこやばかったんだけどね。
流石に英語ほどじゃ無いけど。
……まぁ、何とかなるさ!!
という事にしておこう、うん。
……期末の勉強はちゃんとやるかな。たまには。
オマケ
「オレの登場は何だったんだ!!?」
「岳お兄ちゃんは出られただけ良いじゃない~。
お兄ちゃん達出てるのに私出てないんだよ~?」
うん、放置しておこう。
オマケ 2
りんごは綺麗にあたしに食べられましたとさ。
めでたしめでたし。
何がどうめでたしなのか。
そんな質問は受け付けない!