148 おもちゃ会議
『最近、この家の子たちはおもちゃで遊びませんね』
『前からだぞ。特に一番上の……あの恐怖の……えぇと、取り合えずアイツがおもちゃを欲しがってるところなんて見たことねぇ!』
恐怖の、の続きが思いつかなかったんだね……。ラジコンさん。
後、遊ばないね、から欲しがらないね、に話題がいきなりそれてるよ……。
ウサギ人形です。
今は真夜中、光ちゃんの枕元からこっそり抜け出しておもちゃ会議に参加してるの。
『ラジコンさん、何を言っているんです。子供と言えばおもちゃ売り場で欲しいものを見つけるのではありませんか。その時に母にねだるのです』
『んなこたねーぞ! 光はウサギ人形が欲しいって一日中かーちゃんにねだってたんだぞ!』
そうなの? こ、光栄です光ちゃん。
『岳もそーだぞー。おもちゃの銃をずっと欲しがってたぞー』
あ、こんばんは。ボールさん。
相変わらずぺっちゃんこ……。
『そうなのですか……。あぁ、そういえば忍さんはラジコンカーさんを欲しがってましたねぇ……』
『うぉ、マジで? やったね!』
忍お姉ちゃん……もうちょっと女の子らしいものは欲しくなかったのかな?
あ、悪いとは言ってないよ!
『純ちゃん、何か欲しいもの無かったのかなぁ~、みんなで考えよう! ほらほら~! 特にお年寄り!』
『ミニカーさん、まさかそこに私も入れてはいませんか?』
『違うの!?』
ミニカーちゃん、ニンジンとサツマイモの甘煮さんが怒ってるよ!
『うぅむ……あの子は昔っから一人でぶつぶつぶつぶつと不気味な子じゃったからの……』
がらがらお爺さん、今もですよ。
昨日は宙に向かって話すどころかパンチしてたし……。
光ちゃんも一緒に……いやぁ! 光ちゃんが痛い子になっちゃうっ!
『今はみんなそんなことになってるよね!』
『うわぁっ! 持ち主ぃ! オレが助けてやる!』
『何からですか』
全くだよ。
『た、た、たけにゃんがおかしな子に!?』
いたんだ……、ダーツさん。
『とりあえずみんな落ち着けーっ! 落ちつけったら落ち着けーっ!』
『一番暴れてるのはテメェだ、おはじき』
みんな揃って飛び跳ねないで……。
『あっ、お前はルービックキューブ!? めずらしー……』
この家にルービックキューブがあったの!?
初めて知った……。
『あ、そういえばありました、純さんが欲しがっていたもの』
『何!?』
わ~、流石お年寄……いえ、なんでもないです。ニンジンとサツマイモの甘煮さん、こっちをにらまないでください……。
『ルービックキューブさんをはじめ、立体パズルの皆さんはほとんど純さんの欲しがったものですよ』
『ん? そうなのか?』
口調がそう言ってるよ……。
私も光ちゃんに合わせようかな~。
『おぉ! そうじゃった、そうじゃった。それを言えばモデルガンだとかダーツだとか、的当てみたいな奴らは岳の欲しがった奴じゃぞ』
そういえば……そう、っぽい?
『じゃあ、光ちゃんはお人形とかぬいぐるみとかだね』
『一番女の子らしいな!』
一番も何も女の子は二人しかいないよ。
『…………忍さんは?』
『…………』
忍お姉ちゃん……。
ここにいる人だと、ラジコンさんでしょ、おはじきちゃん達でしょ、ボールさんでしょ……。
『一番守備範囲が広い奴だ!』
『何でもOK?』
『そんな感じですね』
もしかして、忍お姉ちゃんの方が純お兄ちゃんよりも、謎?