140 お久しぶりです、オカルト部
「まってーっ! ねぇ! ちょっとでいいからちょっと来てよ!」
ちょっとを二回言うとなんだか怪しく聞こえてくる!
『何度叫ぶなと言えば分かる!』
すぱこーん
「いったーい! 今のはちょっと痛かったよハルやん!? いい加減ハリセン携帯するのやめてよ!」
あれ、突っ込むところが若干ずれてるような気がしないでもないんだけど。
忍です。
最近静かだと思ってたら、再び追いかけられるようになりました。
あの、きょーふのオカルト部……あ、部活とは認められてないんだった。オカルトオタクの集まりにっ!
「いけーッ! タツノオトシゴ!」
「はいっ! って、結局オレのあだ名それですか!?」
あっさり返事しちゃってから言っても……。
って、今こっちに単独突入(?)してきた男子、オカルト部に連れてったあの一年じゃん!
「タツノオトシゴーっ! 頑張って下さーいっ!」
えっちゃんこと枝奈さん、年下にもあなたは敬語を使うんですねー。
「ちょっと来てくださいッ! せめて話くらいは聞いてくださいよ!」
「どう考えても頼む奴の態度じゃねぇだろうが!」
いきなりとび蹴りしてくるって、どーよ?
「……よし、こうなったら忍。応戦しろ」
「ヤだよ! あたしおいて逃げるつもりでしょ!」
「当然だ。昨日俺にかっぱを任せて逃げたのは誰だ?」
だってだってぇ! 昨日のあのかっぱ、明らかに純兄にしか用事なかったんでしょ!
流石に方手べっとりさせて帰ってきたのにはビビったけどさー。
「……それだ、それが聞きたかった」
「そうそう! マコちゃんナイス! 何の用事か忘れるところだったよ!」
ならそのまま忘れて追ってくるなぁ!
「ですからマコちゃんと呼ばないで下さいともう693回言っています」
何で数えてるの。
「かっぱって言ったな? どこで見た」
できればその手のハリセンをしまって下さい。ついでにストロボ写真も取らせて。
運動を見るんじゃなくて、どこにしまったのか見るために。
「砂原池。これだけでいいならもう追ってくるな」
「砂原池? 部長知って……る訳が無いですねすみませんでした。古閑先輩知ってます?」
タツノオトシゴー。地味に失礼。相手が部長だからいいけど。
全員知らないとか言わないでよ。
「いや、俺は知らない。枝奈は?」
「私も知りません……誠君知ってますか?」
「もちろん……。水ヶ岡小学校の近くにある大きめの池。鯉やカメなどが生息している。かっぱを見たという子どもは後を絶たない。しかしそうは言ってもは甲羅や皿をを見ただけなのでおそらくカメの甲羅か水面に映っ「もういいよ」……」
ずいぶん喋ったね、この人。
あれ、途中で話しきられたからか知らないけどちょっと表情が暗くなった。
「それじゃ、そのことは教えたから俺らはもういいな。もう追うな」
命令形ですか、純兄。
「あ、いえ……どのあたりで見たかもできれば教えていただきたいので……」
「明日は土曜日だしっ、一緒に来てね! 待ち合わせ場所は……」
ちょっと待て!
「何であたし達行く前提で話が進められてるの!?」
「あ……どちらかお一人だけでもいいですよ」
よし、こうなったら……
「よし、任せたぞ忍」
「もっと平等な決め方は無いの!?」
「昨日俺にかっぱを押し付け「それはもう聞いたよ」あぁそうだ、先週テメェが光のお気に入りのハンカチでうっかりごま油を拭いてしまってそれが取れなくなってそれをこっそり隠していることは……」
何で知ってるの!?
「しっかり証拠写真も「何でそんなことは面倒くさがらないの!?」こういう時に役立つからだ」
「鬼! 悪魔!」
「ん、褒め言葉として受け取っておく」
ぜんっぜん褒めてなぁい!
「じゃあ、よろしくね! しののん!」
しののん? あぁ、タツノオトシゴよりはマシかぁ。