14 もし〇〇が降ってきたら
「桜ー」
「は~い?」
忍です。
暇だったのでなんとなく桜に話しかけてみた。
「何か面白いこと無い?」
「無いよ~」
なんてキッパリと言うんだろう。
「よ」
「あ、しーちゃん」
今来た、挨拶を一文字で終わらせてしまう女の子は、中谷篠。
通称しーちゃん。
って言ってもそう読んでるのあたしだけだけどね。
「しーちゃん、何か面白いこと無い?」
「無い。何か面白いこと無い?」
今あたしが言ったことと同じこと返したな。
「第一回、もし〇〇が降ってきたら~!!」
桜が手をパーッと広げて高らかに宣言。
『突然だな!?』
「え~? だって面白いこと探してたんでしょ?」
うん、それは確かに。
「何? 何かやんのかおめーら」
桜の斜め前の席で振り返るは高崎清
なんだかんだでよく話したりはする男子。
「じゃ、始めよっか」
「オレは無視か!?」
『うんそう』
あ、しまった。返事したら無視じゃないじゃん。
「まずは篠からね~。
何か降ってきたら面白そうだな~って感じのを〇〇の中に入れて」
「あたしから? ……ん~……あ」
何か思いついたみたいだね。
「もし一万円札が降ってきたら」
なんてピンポイントな
さー、皆で想像しよう。
ある日、突然一万円札が大量に降ってきた。
どさーっ
「ママーこの紙お絵かき出来ないよぅ」
「ママのお財布に詰めておきなさい!」
「あぁ!! これで借金全額返済出来る!!」
「夢のマイホーム!!」
「よかった。お小遣いなくなりそうだったんだ。へへ」
「この金はオレのだ!!」
「馬鹿野郎! オレのに決まってんだろ!!」
「あなたのお金は私のもの。私のお金は私のものよぉ!! おーほほほほほ!!!」
……戦争になりそうだ。
「って言うか最後の、何?」
「ウザかったね~」
「なるほど、そんな風にすればいいのか。
おーい、純! なんか面白そーだぜ!!」
なんでそこで純兄を呼ぶかな。
まぁ、しーちゃん、桜、清、純兄、あたしがいつものメンバーって感じではあるんだけど。
「あんだよ」
「じゃ~次は~……純君で!」
「……もし木刀が降ってきたら」
話聞いてたんだ。
想像……するまでも無い。
『怖いよ!!』
「あそ」
大体なんで木刀が出てきたのさ!
「次~、忍行こ~」
「あたし?」
ん~、そうだなぁ……。
「もしケーキが降ってきたら」
想像してみよー。
空からいろんな種類のケーキが降ってくる。
ひゅるるるるぅ……
べちゃ。
それを拾い食いする犬や猫。
おなかを壊す犬猫。
悲劇だ。
「後が大変そう」
「だめになる服が大量に~」
「クリーニング店は悲鳴を上げて喜ぶだろうけどな」
「よし決めた!!」
お?
「オレはケーキが降ってきたらクリーニング店を開くっ!!」
馬鹿だ。
「いや、本当に降ってくる訳じゃないから」
「ならオレが降らす!!」
ドカッ
「純君のパンチ!見事に鳩尾へ決まりました!」
何も中継しなくても。
「うぐぐ……」
「南無阿弥陀仏」
「殺すな!!」
……ん?
「なぁに?般若心経の方が良かった? あれ長いからヤだ」
「ちがうっつーに!」
え? 違うの?
「はーい次行こ~! ……清君」
「何でオレの時はテンション低いんだ!?」
「あはは~なんとなく♪」
「ったくぅ……んーと、もし数学のテスト問題が降ってきたら」
なんてピンポイント過ぎる。
想像しよーう。
空からハラハラと降る数学のテスト問題。
地面はどんどん白い紙と黒い文字で埋め尽くされてゆく。
だから何。
「うわあああぁぁぁぁぁああ!! 怖いっ!!」
ドカッ
「今度は忍のパンチが眉間に~、入りましたぁ!」
だから実況せんでいいと言うのに。
「何でアレが怖いの」
「どこも怖いトコねぇだろ」
「だって、だって!! 数学のテスト問題だぜ!?」
……あ。
清って数学が異常なほど苦手なんだっけ。
「清、1+1は」
「2。ってそれは算数だろ!! 馬鹿にしてんのか!」
Yes!
その日の夜。
お札と数学のテストがケーキをサンドして、さらにそれに木刀が刺さったものが学校に降ってくる夢を見た。
と、言う話を皆に話す夢を見た。
何故?