138 オバキューッ!
「おぉーっ、オバキュー!」
「安いよ安いよ~。なんとただ~!」
それじゃ売ってるとは言わないし。
そもそも売り物じゃないし。
忍でーす。
うちの庭で、お化けみたいに大きなきゅうり略してオバキューが採れました。
「はっはっはっ、お父さんの愛が詰まって「ほったらかしてたくせによく言う」うぅっ」
純兄ー、おとーさん泣いちゃったよ。
はっきり言おう。不気味。
「なー母さん、これ何センチ?」
「分からない~、測って~」
「とゆー訳で、ねーちゃんメジャーとって」
パシリ? 岳の方が近いのに。
……と、思ったら目の前にあった。
「ほいな」
「あんがと。えーっと……」
シューッ
金属のメジャー伸ばす時って何か気持ちいい。
「三十……うわっ!?」
しゅるるるるるるバチッ
で、固定しないといけない奴は固定し忘れると急に引っ込んで何か危なかった感を感じさせる。
「四十一~! 三十センチ定規よりも大きいよ~!」
そりゃね。
「ウエストは~?」
「きゅうりにウエストがあるの!?」
「きゅうりの一番太い所~」
知らなかった~。
「……忍、まさか信じてねぇよな」
「えっ!? 違うの!?」
「信じてたのか!?」
……違うよね。やっぱり。
「さてさて~、このきゅうりはどうやって料理しようかな~。晩御飯何がいい~」
『ステーキ(~)』
「あはは~、怒るよ? あ~、大丈夫よ~純~。あなたが言ってないことは分かってるから~」
「ん」
『ごめんなさい(~)』
純兄だけズルい。
いや、言ってないんだからズルいってこたないんだろーけどさ。
「で~、晩御飯何にしようかな~」
「オバキューの寿司!」
「それってかっぱ巻きって言うよね」
「あ、そか」
おーい。
「オバキューとサツマイモの甘煮~!」
「ニンジンとサツマイモの甘煮の影響!?」
「ぴーんぽーん~」
当たりなの!?
「オバキューのジュース!」
「美味しいの~?」
「美味しいってこないだ見たサイトに書いてあった! ……気がする」
おぉい!
「オバキューのドックフード」
おとーさんまで!
「何で犬!? ここはキャットフードでしょ!」
「そこは突っ込むところじゃねぇ」
やっぱ猫だよ! 可愛いよー。
「オバキューの回し蹴り!」
「どんなのか見てみたいよ!」
想像してみた。
オバキューがぐるぐる回っている。
以上。
……えと。
「オバキューのはちみつ漬け~!」
「やっと食い物に戻った……のはいいけど、何故はちみつ漬け?」
「メロンの味なんでしょ~?」
……そうでもなかった気がする。
「オバキューの胡麻和え」
「オバキューのお浸し!」
「オバキューの氷漬け~」
「きんぴらオバキュー」
「オバキューの味噌汁っ!」
以上、ニンジンとサツマイモの甘煮という名前にたどり着くまでに出たおかずのオンパレードでした。
……あれ、一つおかずじゃないのが交じってるよ?
『いただきまーす』
結局。
オバキューの塩ごま油和えになりました。