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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
六月だって暴走中
135/410

135 不思議満載なぬいぐるみちゃん

「ねー、ホントにこん中にあるの?」

「母さんが言ってたから間違いない! 多分」

 そこに多分をつけないでよ。やる気なくなるから。

 忍でーす。

 岳が、押し入れにでっかいぬいぐるみあるらしいから探そーぜ! なんて言ってきたから探してるんだけど。

「無いじゃん」

「うーん、ここじゃねーのかなー?」

「んじゃもう一個の押し入れ探そうよ」

 見つけてどうするつもりなのか知らないけど……。

「えー。あっちの押し入れ?」

「あっちの押し入れ」

 嫌がること無いでしょうが。

 普段からおとーさんとおかーさん使ってるとこなんだから……。

「はい、さっさと来る」

「なんだかんだで探すのノリノリじゃねーかよ」

 だってー。

 探してるのって冷蔵庫位大っきいぬいぐるみでしょ?

 ちょっとくらい覚えてるよ。

 たしかあれは……。



「あったあ!!」

「……え、これ?」

 なんというか、無残なことになってる気がしないでもない……あぁいや、思いっきり無残なことになってるけど……。

「胡麻和え!」

「どんな名前だよこのぬいぐるみ!?」

 だから胡麻和えだってば。

 ……何でこんな名前がついたんだろう。

 あたしがつけたような気がするけどさ。

「えー……まぁいいや。何でその胡麻和えの胸が赤いのかから説明してくれねーか?」

 全身クリーム色なんだけどねぇ。

 なぜか左側が胸のところから赤いという……。

「これケチャップ」

「どーやったらぬいぐるみにこんなにべっとりケチャップがつくんだよ!?」

「何でだったかなー」

 んーっと、んーっと、確か……。

「あ、思い出した。開封直後のケチャップを思いっきり握ちゃって、それでぶしゅーっと噴出されたケチャップが胡麻和えの胸に直撃!」

「アホか!?」

「四歳のかわいい過ちだよ」

「やったのねーちゃんかよ! しかも結果は全然かわいくねーよ! むしろ怖ぇ!」

 突っ込み長い。

 んでもって、

「やったのなっくんね」

「なっくぅん!」

 何で壁に向かって叫んでるの。

「呼んだ?」

 そして何でなっくんがここに居るのかな!?

「いや、呼んでねーよ別に」

「あそ。って、うわ、ホウレンソウのお浸しじゃん!?」

「どんな名前だよ!? ってか、え? 胡麻和えじゃねーの!?」

 あれ、名前が長いって所には突っ込まなかった。

「胡麻和え? こいつの名前はホウレンソウのお浸しじゃねぇの?」

「そーだっけ。あぁでもそんな気もしないこともないけど」

「あれ? やっぱ胡麻和えだったっけ?」

 あれあれ? こいつの本名何だっけ?

「よし、とりあえずまずこのキャラクター名を思い出そう」

「それよりまず、押し入れから引っ張りだそうよ」

 まだ出してなかったし。

 何か突き出た鼻が突っかかって見てて痛いし。

「よーいしょ。うわ、意外と重っ!?」

「そーそー、重から移動させる時は皆で蹴ったり体当たりしてたよね」

「あと転がしたりな。かおりちゃん面白かったなぁ……」

 えぇと、香ちゃん……あぁ! 山口の友達の中で一番の不思議ちゃん!

 ちょっと天然も入ってたし、小っちゃかったし、なんか皆の妹香ちゃんとか言われてたなー。

 ……今度山口行ったときあたしの方が小っちゃかったらやだなぁ。

「なっくんとねーちゃんも手伝えよ!」

「あぁ、悪ぃ」

 さー、皆で引っ張ろう。

「……何やってんだ、テメェ等」

『あ、手伝って。てかやって』

「質問の答えになってねぇ」

 え? 質問してたの?

「ほら、この押し入れの中のぬいぐるみ出すの手伝ってって」

「あぁ、氷漬けな」

『また新しい名前出たぁあああ!!』

 でも何でおかずの名前じゃないの!?

「ん? きんぴらごぼうだったか?」

 結局おかずの名前だし!

「ちょ、ちょっと、やっぱ一回これ出すのやめて名前思い出そう!」

「そだね、えぇと、お味噌汁!」

「それだぁあああ!!」

 一発で分かった!?

「よし、すっきりしたところでお味噌汁出そう」

「わかめの味噌汁だっけ、豆腐の味噌汁だったっけ」

「余計なところに突っ込むな! 気になる!」

 なっくん、細かい所気にしすぎじゃない?

 そうでもない?

「わかめと豆腐の味噌汁だ」

「あぁ、すっきりした」

「したのか!? これで!? なっくんすげー」

 すごーい。

 ……何が?

「んじゃ出そう」

 ずぽ

「……何この音」

「ぬいぐるみが抜けた音だろ?」

 こんな音ふつうしないよねぇ。不思議だ。

「やっぱでけぇな、わかめと豆腐の味噌汁」

「やっぱなめこの味噌汁じゃない?」

「もういいから……」

 あ、疲れた?

「んで、このキャラクター名ってなんだっけ」

「たしか、なめっこだ」

 何のキャラクターなんだろ、これ

「……やっぱなめこの味噌汁かも」

「違う! こいつはニンジンとサツマイモの甘煮だ!」

 何か無駄に長くなったぁ!

「何を突然……あん時お前一歳だったろ」

「背中にこんなのが挟まってた!」

 背中に!? どーやって!?

《このぬいぐるみのなまえはにんじんとさつまいものあまにです。かわいがってください》

 …………捨て猫? もとい捨てぬいぐるみ?

「すげぇ、字は明らかに子どもの字なのにぬいぐるみの事『この子』じゃなくてちゃんと『このぬいぐるみ』って書いてある」

「……誰が書いたんだ、これ」

「え? これってあれだろ、俺等で名前を忘れないようにしようって書いた奴じゃ……」

 何でそれが捨てね……ぬいぐるみみたいになってるんだろ!?

 不思議だなぁ。昔のあたしたち。

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