133 二者懇って
「高山さーん、高山忍さーん」
ここは病院だったっけ?
「はーい、遅くなってごめんな」
「いーえ、話をするような相手はみぃんな部活行っちゃっててもう暇で暇でしょうがなかったうえに純兄にはとっとと帰られちゃって、表に出さずに物凄くイライラしてたけどぜんっぜん怒って無いですよ?」
「……はい、ごめんな。どうぞ」
だからー、怒ってないってばー、あははー。
忍でーす。
今日二者懇で、とりあえず本来の自分の時間までは待ってたんだけど……。
何か知らんが部活を待たせてるとかいう理由で他の人が入ってきて遅らされてー。
いっちばん最後になってしまった。
「はい、それで……どんな感じ?」
「何がですか柿の種…………先生」
「……と、とりあえず、クラスで」
クラスがどんな感じか?
「んー……、五月蠅い」
「あぁやっぱり」
やっぱりと思ってるんだったら何とかしてー。
「どの辺が五月蠅い?」
「えー……花咲とゆかいな仲間たち」
がくん
え、何? 何かギャグアニメみたいなこけ方したよこの人。
「そ、そうか。で、五月蠅いから席替えしようとしてるけど、それについてはどう思う?」
「その席気に入ってるんですけど」
がくん
またこけた。
あたしの席、真ん中の列の一番前で、今教師が座ってるとこなんだけど……。
五月蠅くても聞こえるから、気に入ってるんだよねー。
「……と、ところで成績いい方だけど、塾は行ってないんだよね?」
「行ったところですぐにやめると思います」
がくん
……癖なの?
「自分で勉強「してません」……やったらもっと伸びるでしょうに。特に社会」
「歴史なんてどこで使うんですか」
「いや、あのねぇ……」
今やってるのは公民だけどさ。
「志望校とかは?」
「今のとこ無いです」
「んー、そうか」
あれ、終わり?
さっきから全然話続かないねぇ。
「高山は兄弟とかいるの?」
「高山純はあたしの兄ですが何か」
「あぁそうだった、ごめん。弟とか妹とかは?」
純兄に聞かなかったのかなぁ。
「どっちもいます」
「ちゃんとお姉ちゃんしてる?」
うーん、何て難しい質問だ!
「多分? きっと? 恐らく?」
「……純は家ではどんな感じ?」
「家族全員の恐怖の対象!」
がくん
若干このリアクションうっとうしくなってきた。
「あぁでも、たけ……弟と百マス計算勝負とか、最近ではナンプレも勝負やってます」
「そっか、弟はいくつ?」
「小六」
「あ、来年入ってくるんだ」
……あ、柿の種がずっとこのまま学校に居るんだったら岳の学年持つことになるんだ。
岳!一組だけにはなるなよー。
「はい、最後に気になることある?」
「気になること……気になること……? うーん」
教室見回してみるけどー。思いつか……あ。
「バルコニーの花壇が雑草だらけです!」
「そこは気にしちゃダメだ! 抜きに行かないで」
「誰がいつそれを抜いたんですか。どっちかっていうと食べられるのが無いのかの方が気になってるんですけど」
食べないけどさ。苦いから。
「そ、そうか……まぁ高山は不思議だからなぁ。他には?」
あたしのどこが不思議なの!?
いや、たまに言われるけどさぁ。
んー、他ねぇ。
「ほら、藤原君が腕時計つけてますとか」
そーなの?
「小浜君の眉毛ありませんとか」
「そーなの!?」
知らなかった……今度見てみよう。
「あ、そうそう。一昨日の音楽室の掃除が無かったってこと聞いてなかったんですけど」
おかげで掃除がサボれた。
「あー、あれな。あの日先生職員室によらなかったからそのこと書いた紙見てなかった」
うわぁ、音楽の八木田先生が言ったことと全く同じだ。
「ほら、先生渡り鳥みたいにあっちこっち行ってるから……」
「先生」
「ん?」
「渡り鳥を馬鹿にしてはいけません!」
「それ先生馬鹿にしてることになるからな!?」
あはは★
「先生<<<渡り鳥♪」
「お、ま、え、なぁ……」
先生<<<渡り鳥!
テストに出るよ!