130 くみたいそー
「わ~、凄い~」
「ひらひら!」
「……うねうね」
今ね~、岳お兄ちゃん達の組体操だよ~。
光です~。
「なっくん、何だっけあれ? イソギンチャクだっけ?」
「え、名前あんの?」
「……もういいや」
あのね~、組体操のね~、腕を交差させて隣の人と手をつないで~。
波みたいに体を起こしたり倒したりするやつだよ~。
「あ、終わった」
バラバラになって~。
あれ~?二つに分かれた~。
「……新聞記者、邪魔」
「うん。邪魔」
せっかく綺麗なのにうろうろされたら違和感が~。
「あ、騎馬作ってる!それぞれ二列目の方」
「一列目の方は……なんか構えてる? 剣? とか弓?」
……チャンバラ~?
それとも昔の戦ごっこ~?
「あっ! 歩兵前に出た!」
「やっぱあれ歩兵なのね」
「弓が思いっきり関係ないとこ向いてるけど~」
「……あさっての方向」
あのまま撃ったらぜったい弓が行方不明になるね~。
パントマイムだけど~。
『わー!』
「あ、騎馬も出た!」
「あ、あ、あ! あはははは!」
「新聞記者、巻き込まれてやんの!」
お互いの方に走って行ってるからね~。
その間に立ってたら挟み撃ちだよ~。
「あー、ぎりぎり抜け出した」
「惜しい!」
あ~、ぶつかった騎馬が壊れ始めた~。
「……よく見たら、白組ばっかり騎馬壊れてねぇか?」
「赤組もちょっと壊れてるよ~? ほら~、おんぶ状態になってるやつもある~」
「組みなおせよ!」
ほんとにね~。
「あ、白が一騎になっちゃった」
「最初から真ん中にいたし~、お頭かな~?」
「……盗賊団?」
「海賊じゃない?」
……海賊は馬使わないよ~。
「あ、お頭も倒れた」
「結局お頭って呼ぶのかよ」
「なんか気に入った」
「……あそ」
赤が勝った~!
つまり私たち優勝できるのかな~?
「そーいや純君は?」
「純兄? 帰ったよ」
「また!?」
「結果だけ教えろってさ」
どうせなら見て帰ればいいのに~。
「……赤も崩れた」
『えーっ』
何で~っ?
「次何するのかな」
「そろそろ終わりだから何か大技でもすんじゃねぇの?」
「五十段タワー!」
「人数足りねぇだろ、どー考えても」
ん~っと~。
「六年生は確か全員で六十五人だよ~」
「それ以前にバランスとれないよ!」
「……うん、分かってたからね。分かってたけどなんとなく言ってみただけだからね。だからそんなに色々言わなくても……」
言わなきゃいいのに~!
「あ、でもタワーはやるみてぇじゃん。ほら」
お~、いっぱい積みあがってる~。
男子ばっかり~!
「五年生も交じってるよ! 名前知らないけどクラブにいる人がいる!」
「名前くらい知っとこうよ~」
「多田野ひ……くんだよ。名前くらい分かってるって!」
……下の名前分からなかったんじゃ~……。
「五段タワーじゃん! あたしが言ったやつの十分の一だから五は合ってたよ」
「はいはいよかったねー」
「……なんかすごぉく馬鹿にされたような気がする」
「馬鹿にしたんだよ」
はっきり言うね~。
「あ、女子は女子で三段タワーしてる」
「スルーですか忍さん」
「嫌なことはすぐ忘れる主義なんだ!」
知らなかったよ~。
「うらやましい主義だなおい」
……五秒も覚えてなかったね~。