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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
六月だって暴走中
128/410

128 六年、全員リレー!

「おー、すっごいいい勝負」

 125対128かぁ。

「お姉ちゃん~、嬉しそうにしないでよ~」

「負けてるんだよ!? ウチ等!」

 たった三点じゃん。

「……たかが三点、されど三点……」

「もぉー。後玉二個入れたら勝ってたのに!」

 玉入れってそうそう入るものでも……無いこた無いなぁ。

「あれ~? そういえば純お兄ちゃんは~?」

「帰った」

『え~!?』

 岳脅すだけ脅してさっさと帰ったんだけど。

「気付かなかったの? 次の六年の全員リレー終わったら昼休みでしょ?」

「だって~」

「純くんなんてどこフラフラしてるか分かんないし」

 ……まぁ、そうかも。

「フラフラするのは忍だ」

「純兄!? あれ!?」

 帰るって言ってたのに!?

「……帰って、無いよ?」

「もう一度来ただけだ」

「純兄が!?」

「……どういう意味だ?」

 わざっわざ純兄がもう一回来るなんて……。

「明日は……うん、雪とまではいかなくても雨だ」

「何か岳が来いとか言ってたからな」

 なんかスルーされた。

「あたしそんなの言われてないんだけど?」

「テメェは言わなくても来てるだろうが」

 来ないかもしれないじゃん。

「忍は暇人だもんな!」

 なっくん、嬉しそうに言わない!

「あ、お兄ちゃん!」

「ほら、もう始まってる。応援しなくていいのか?」

 あれ? あ、ほんとだ。始まってる。

 たーけーるーはー……。

「あ~、岳お兄ちゃんアンカーだよ~」

「……チッ」

 え、純兄今の舌打ち何!?

(アイツ)……今俺がいた方が怖くて速くなるって言いやがった」

 読唇術……便利だよねぇ、こんな時。

「事実じゃない?」

「ん、岳が負けた時はついでにテメェも……あぁ、言わないでおいてやる」

 あたしが岳に言ったのと同じ事言ったぁ!

「なっくーん、純兄が怖い」

「あはは、頑張れ。俺は白を応援するかな」

 人の不幸を笑うなぁっ!

「おにーちゃーん?」

「……敵だー」

「やっつけろ~!」

「はい?」

 人を呪わば穴二つー。

 ……人を笑わば穴二つ?

 体に穴が開かないように気を付けてね。

「お前らとにかく応援席座ってろ!」

「お兄ちゃんたちが居るから「よし、んじゃ別のとこ行くか」えーっ」

 えーっ。

 ここが一番見やすいんだけど。

「ところで忍?」

「何?」

「ずーっと鉄棒の上に座ってて足痛くならねーの?」

 ここが一番見やすいんだけど。

「んー。若干……あーいや、大分痛い」

 棒に当たる位置変えてるんだけどなぁ。

「本部席の方意外と見やすいぜ。ゴールもあっち側だしさ」

「行く」

 くるんと回ってー。

 元に戻った。

 一回転。

「天国回り~」

「地獄回りは」

 できません。

「行くならさっさと行かねぇと……あとちょっとしか残ってねぇし」

 アンカーまであと二人じゃん。

「よし、走ろう」

「えー」

「何で言いだしっぺが文句言ってるの!?」

 あ、あ、あ、後一人。

「とりあえず行こ!」

「う~、いいな~お姉ちゃん達~」

「……後三年」

「ウチ等があっち側に行くまで?」

「……うん」



「あーっ! こけた!」

「やべぇじゃん。抜かれた」

「ん、これはこれで『よくねぇよ!』面白『くない!』五月蠅い」

 だって純兄がボケるから。

「これ団体競技だからドーンと入るだろ? 得点」

「一位四十点、二位零点、引き分けで両方に二十点。変わってなければ」

「詳しいな」

「二年連続得点係だからね!」

 これはあたしだけだった。

「ん? 三年連続だろ。中一の時乱入してたから。知り合いがいるのを使って」

「頼まれたんだよ!」

 言い方によって凄い違い。

「あ……白の奴速ぇ……。大丈夫か岳」

「さぁ?」

「……おい」

 だーって。

「あ、やっとバトン渡った。岳は……白と同じ位じゃねぇか、足の速さ」

 うー……。

 四十三点差はキツそうだなぁ。

「……あれ? 何か岳、速くなってね?」

「ん? あ、ホント。さっきまでの何さ」

 そんなら最初っから本気出せばいいのに!

「ねぇ純兄……? あれ、純兄は?」

「へ? いねぇの?」

 んー、まぁいいや。

「あ、あ、あ、後ちょっとで追いつく!」

「でもゴールまでも後ちょっとだぜ?」

「岳ー! 負けたら怒るよ!?」

 あ、さらに速くなっ……ちゃいないな、うん。

 って言うか、これ位で速くなったら凄いなぁ……。

「よっし! 追いついた!」

 パンッパンッパンッ

 あ、終わった……。

 どっちが勝ったの?

 引き分け?

「ん、ぎりぎり勝ったな」

『純(兄)!?』

「どこ行ってたの!? っていうかそのカメラどっから……」

「親父が持ってたから借りてきた。ほら」

 んー……?

 あ、ちょっと岳の方が早くゴールしてる。

 そういえば最後の最後で飛び込み前転してたような。

「これ借りに行ってたんだ。わざわざ」

「いや、岳を脅しに行った。これはついで」

 岳が急に速くなったのは純兄が脅したから?

 純兄……。

 なんというか、凄すぎる。

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