126 帰ってきました
「あー、三年終わったぁ」
「早っ」
「いやー、だってさ? 何かほら、何か一番のイベント終わったから……」
「分かんないよ」
とりあえず今は、電車の中立ちっぱなしで足が痛いなー以外には考えられないや。
忍でーす。
「やぁっと帰れる……俺帰ったら即行寝るけん、忍ちゃん起こさんとってな」
「夏、何で山口弁「何となく」……あそ」
あ、純兄絶対に沈黙の時『話し続けるのめんどくせぇ』とか思った!
「皆だるだるだね~」
「だらしないわねっ!」
「まぁこいつらだし」
おいこらー。
「お兄ちゃんっ! 忍ちゃんと純君もお帰り!」
「お帰り~。お土産は~?」
光、いきなりそれはどうかと。
「うわ、帰ったら絶対会う前に寝ようと思った奴に会った」
「ちょっと、お兄ちゃ~ん?」
なっくん……。
「わ~、光ちゃん久しぶりだね!」
「お久しぶり~」
「……兄上……岬、知らない?」
おわっ、美代までいた!?
「岬? んーっと……あ、おーい! 美咲ちゃん!」
「人の名前を勝手に変えるなと言うに!」
「……居た、姉上」
「美代はまねすんな!」
完全にいじめる側からいじめられる側になってるねぇ、美咲ちゃん。
「お袋か秋さんはどこだ?」
「いないよ~?」
あれ?
「母上に……会いたかったの……?」
「黙れ。つまり、テメェ等だけで来たと?」
純兄、五つ下の子に黙れはどうかと。
「そうだよ?」
『ここは校区外だ!』
うわっ、なっくんまで!?
「三人居るから大丈夫だもん!」
「関係ねぇよ。あぁもう、何かあったらどうするつもりだ?」
「でもでも~、校区外の一番遠いところよりこっちの方が近いよ~」
へ、屁理屈!
「それでも駄目だ。光、ビードロ抜きだな」
ご飯抜きみたいな言い方だね。
「えぇ~っ!? 買ってくれてたの~!? もうしないから~!」
「本当に?」
「本当だよ~!」
「…………」
「あぅ~、お姉ちゃん~……」
叱ってる時の純兄の沈黙って怖いんだよね。
オーラというか、何というか。
「んー……、でもまぁ今回は光が悪いからなぁ」
「お姉ちゃ~ん~」
「純兄ー、今回はいいじゃん、大丈夫だったわけだし」
「あぁ、光はテメェじゃねぇからな」
どーゆー意味だよっ!?
「純、純」
「あ?」
「土産抜きはねぇだろ。こいつ等、早く土産が見たかったから来たんだと。それじゃ踏んだり蹴ったりだ」
「本当に土産抜きにする気は無かったけどな」
だろうね。
「あぁ……何かもう面倒になってきた。ついでに疲れた。ん、光、もうすんなよ」
うあ、何か突然ぱっきりと終わった。
「はい~」
「ん。ほら、ビードロだ」
「やった~! 開けていい?」
「家に帰ってからだ」
「え~」
ありゃ、桜たち居ないや。帰ったのかな。
「はぁ……。帰ったら父上にまず報告するのがコレかよ、おい」
「……嫌なら、しなかったらいいのに」
「馬ぁ鹿。言わんでもばれてるだろ、どーせ」
「……むぅ。父上、怖い」
「んなこたとっくに知ってる」
「……うん、だから……兄上も一緒に「絶対に嫌だ」ふふ」
ふふってなんだ!? ふふって!?
「帰るかー」
「帰ろ! 帰ろ!」
「……さっきから歩いていたのは帰るためではなかったと?」
「いやー、何となくな。何か喋ってないと出そうな気がして」
幽霊見ても怖がるやつじゃないくせに。
「そうだな、こんな時に出られるのは迷惑極まりない」
いつ出ても迷惑がってるくせに。
「……でも~、ここの踏み切りって~「そういえば岳は来なかったんだな? テメェ等が行くと言ったら一緒に来そうなのに」」
話遮ったね。
ここの踏み切り通らなかったら遠回りになっちゃうもんね。
だから周りの幽霊達をスルーしようと頑張って話そらしてるんだね……。
「岳くんならひーちゃん家で屍になってるよ!」
「明日体育大会だから~、ものすご~く練習してたんだって~」
「声がかれないように押さえてたーって言ってたけどね。動きとかが激しいって」
そっかー、明日なんだ、体育大会。
んじゃ、宿題は『早く寝る』とかかな?
「でね~、宿題は『中学生にお兄ちゃん、お姉ちゃんが居る人はお土産をしっかりと味わう』だって~!」
何でだよっ!?