12 サンゴもらった
「純兄、行こーよ」
「ヤだ。行きたかったら一人で行け」
「ヤだ。一人で帰るの退屈だもん」
そんな理由かよ。
純だ。
簡単に状況を説明すると、学校からの帰り道にリサイクルショップなんてのがあったんだ。
道の一部にブルーシートしいてその上に色々置いてあるようなやつ。
で、忍はそこに行きたいんだとか。
俺は面倒だから行きたくねぇんだよ。
「行こ、行こ、行こ、ねー」
「いつ駄々こねるようになった」
「今」
なんて簡単な答えだ。
「お~、お二人さんカップ……ぐぼぁ!!」
『誰がカップルだ?』
ったく、いっしょに帰るとしょっちゅう勘違いされるからめんどくせぇ。
下校中会ったりなんかしなければ……っと、その前に。
「生きてるか」
「仏説摩訶依般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄……」
「んな長い経読まなくても」
「殺すなコラ!!」
あぁ、生きてた。
俺と忍の蹴りを同時に食らったのにこんなに早く復活するとは。
「あーいててて、何でいきなり攻撃されたのおれ」
「あたし等は断じてカップルなんぞではないっ! という反論の意味で」
「へ、違うんだ?」
「兄妹だ馬鹿野郎」
っつか、コイツ誰だ。
「ふーん、つまんね。まっ、見てけよ。見るだけならただだし」
あ、リサイクルショップの人か。
「んじゃー遠慮なく」
「お前の遠慮なんて見たことねぇけど」
「もらえるものはもらっとく。それがあたし」
そんなことはとっくに知ってる。
忍は橋の方から流すようにザーッと見てる。
俺?興味の欠片もねぇよ。
「……何コレ?」
白い石みたいなものから細い変なものが生えている。
……サンゴっぽいけど。
「ん?それサンゴ。ホンモノだぜ。ちなみに値段は十円な」
ホントにサンゴかよ。
「へー、コレがサンゴの死骸」
わざわざ死骸をつけなくてもいいだろーに。
「へー……」
三分経過。
「いつまで見てんだよ」
「だって見るだけならただだし。
次はいつ見れるか分からないし」
いい加減帰らせて欲しい。
「そんなに気に入ったんだったもってけよ。ただで」
「おぉー!兄さんデブ!」
「ナニィ!?」
太ってないし。むしろやせてる方だろ。
「違った、太っ腹!!」
大分違うだろそれ。
「よしよし、もってけドロボー!」
「泥棒は犯罪だ!」
「そうでなくて!」
「泥棒は犯罪ではないと!?」
「そうでもなくて!」
……帰っていいか?
「そいじゃさよーなら。サンゴありがと!」
「どういたしまして!って突然だな!?」
「じゃーねー」
「スルーかよ!?」
「ただいまー」
「お帰り~。あれ~?何それ~」
「サンゴ。もらった」
ぽかん。
光、フリーズ。
「サンゴの死骸~!?お払いしなきゃ~!」
なんでそうなる!?




