119 折り紙
「これがこうなって……んでこーして……」
うん。これでよし。
でー、次はー。
忍です。
図書室で借りてきた本見ながら折り紙してます。
「あれ?」
むむ?
……分からん。
「うーん」
やっぱこういうときは
「純兄ー」
「あ?」
「ここどうなってんの? 十番の所」
折り紙の説明書ってたまにわかりにくい事あるよねー。
「……折り紙の説明書読むのはテメェの方が上手いだろうが」
「わー、何か純兄に褒められたのって初めてな気がするよ?」
「まさか」
そーかな?
「じゃあいつ?」
「…………」
答えられんなら言うなよ!
「んで、これどうなってんの?」
「だから俺に聞くなって」
「見る位してよね」
「あぁもう、分ぁったよ……」
あ、断るのめんどくさくなったな。
はい、折りかけ折り紙。
「説明書貸せ」
うん、折り紙だけで分かったんならどうしようかと思った。
いや、どうもしないけど。
「ここを開いて……んで? あぁ」
「分かるんじゃん!」
「ん? 何か悪いか」
いや、いいけどさ……。
「ありがと」
んで、あとはここを開けたら……
「出来た!」
「ライオンか?」
「犬だもん! パピヨンだもん」
顔の周りに茶色いのがあるから見えなくは無いけど……。
「よし」
「どうした?」
「岳と光とおかーさんにコレが何に見えるか聞いてくる」
「……あそ」
帰って来たらおとーさんにも聞こっと。
犬だもん! パピヨンだもん!
「光ー」
「何~?」
「……何してるの?」
「え~? 見て分からない~?」
いや、分かるけどさー。
文房具の手入れでしょ?
「必要あるの?」
「あるよ~!」
「何処にその必要が?」
「…………」
答えられないなら自信たっぷりに言わない!
「まぁいいや。これ何に見える?」
「ん~……ライオン~?」
あぅー。
「でも首より上だけを見たら~」
あれ、続きあるの?
「エリマキトカゲに見えるな~!」
何か余計ややこしくなったぁっ!
「おかーさーん」
「は~い~?」
「あっ! 何食べてる!? 何食べてる!?」
「見つかった~!」
目の前で堂々と食べてて見つからないとでも。
「食べていい?」
「…………」
考えないでほしいなぁ。
「ダメ~」
「えー」
「じゃあいいよ~」
じゃあってなにさ。
チョコチョコ。
「あ、コレなんか高そう」
「だからばれないようにしてたのに~」
のわりには堂々と食べてたけどね。
「おかーさんコレ何に見える?」
「犬かな~」
やった! 犬派来た!
「パピヨン~?」
「ピンポン! あ、そだ岳は?」
見当たらないんだけど。
「まだ帰ってきてないよ~。団長さんだからね~」
「あ、岳団長だったのね」
「そうだよ~、よ~く聞いたら声聞こえてくるよ~」
聞こえない聞こえない。
「ほら~、また「どんだけ耳いいんだよ!?」」
「うわぉ」
「はーっ……はーっ……」
岳が死んでる。干からびてる。干物になってる。
ばしゃ
「ぶはっ!?」
「よし、生き返った」
「いきなり水かけんなよ!」
うん、叫べるならよし。
「岳、これ何に見える?」
「悪の使い魔」
「……水飲む?」
「ん」
おぉ、一瞬でコップの水が消えた!?
「はい、もっかい聞くけどコレ何に見える?」
「んー、犬じゃね?」
よし!
「ご褒美にチョコあげる」
「マジ!? サンキュー! 何か知らんがラッキ」
犬が二票、ライオン二票で……あー……ついでにエリマキトカゲ一票か。
おとーさんは何て言うかなー。
「お帰りー。おとーさんこれ何に見える?」
「折り紙」
……いや、そうだけどさぁ……。
結果
犬:二票、ライオン:二票、折り紙:一票、(エリマキトカゲ:一票?)
あたしはエリマキ犬オン折り紙を折れるようになりました。