118 水ぅ!
「ぐはぁーっ! 疲れた! マジやべー。ねーちゃん水ー」
「ねーちゃんは水ではありませーん」
「いやそーゆーのマジでいらねーから水くれって!」
なら最初からそういえばいいものを。
忍でーす。
何か岳が帰るなり水を求め始めました。
「水筒のは?」
「飲みつくした」
「がぶ飲みは……えぇと、何とかの元だよ」
「何とかって何だよ」
「さあ?」
何だったかなー。
うーんと、えーっと……。
「水ぅ!」
「自分で注いだほうがよっぽど早いでしょうが!」
「何でキレらんなきゃいけねぇの!?」
事実でしょ?
「はい~、岳お兄ちゃん水~」
「お、サン……んぐんぐ」
お礼くらい最後まで言えよ。
「ぷはっ」
「はいおかわり~」
「おぉっ! 光すげぇ! んぐんぐ」
「えへへ~」
んっとね。
光、何で水の入ったコップがテーブルを半分も埋め尽くしているのかな?
いつの間に用意したのかな?
「はい~、おかわり~」
「もういらねーよ!」
あ、十五杯目でダウン。
「え~。せっかく金魚水用意「げほげほげほげほげほ」……嘘だよ~」
ほんとだったら怖いから!
「あ、ちなみに岳。喉に手突っ込むと吐き出せるらしいよ」
「んな助言いらねーっ!」
別にあって損しない知識かと……うーん。
いらないなぁこんな知識。何処で使うの。
「ところで。何でそんなに水欲しかったの?」
「だーってな!? だーってな!? 体育大会の練習三時間ぶっ通しであったんだぜ!?」
「給食はさんだんでしょ? 帰ってまで欲しいって事は」
「そーだけど放課後は応援団のもあったんだぜ!?」
へぇ。
「岳が応援団だとは知らなかった」
「私も~」
「ねーちゃんはともかく光は知っとけよ!」
何かともかくされた。
「味方チームの事は興味無いも~ん~」
「おいっ!?」
「あ、チーム同じなんだー」
「ねーちゃんはそっからかよ!?」
「お弁当の色が楽だね、おかーさん」
「そうね~。お赤飯しないと~」
あ、赤組なんだ。
赤い食べ物って何があるかなー。
トマトでしょ、リンゴでしょ、すももでしょ……。
「あ、ねぇ光ー。水入りコップ一個貸して」
「は~い~。何するの~?」
赤い着色料持ってったこと思い出して。
ちょっと溶かしてみよう。特に理由はないけど。
はい、コップがあります。
着色料買った時に付いてきた小っちゃいスプーンで着色料入れます。
おー、赤くなった。
……え? オチ? 無いよ?