117 暇人の会話
「にーちゃん」
「宿題なら手伝わねぇぞ」
「オレ、宿題頼んだ覚えは一度もねーんだけど」
頼まれた覚えもないな。
純だ。
「にーちゃん」
「用があるならさっさと言え」
「……すっげー暇そうなのにそう言う奴って始めてみた」
そうか?
「で?」
「オレも暇なんだよ」
「で?」
「いや、で? って言われても暇なんだよ」
だからなんだ。
「何かいい暇つぶしねーの?」
「そんなものがあったら俺が聞きたい」
「んー……あー……考えるのめんどい。にーちゃんのめんどくせぇ病に罹った」
「人を病原体みたいに言うな」
それにしても……暇だな。
「てぃ」
「いきなり蹴るな」
「いきなり足払いすんなよー」
蹴ってくる方が悪い。
「なーなー、にーちゃん修学旅行いつ?」
「ん……次の日曜からだったと思う」
「思うって」
たいして興味ないからな。
「それが?」
「お土産期待していいか「ダメだ」えー」
「かさばらなくて安いものなら買っといてやるから」
「えー、安モンかよ」
お小遣いの残りは自分のものになるからな。
「忍にでも頼め」
「ねーちゃんもおんなじこと言うんだよっ!」
「じゃあ自分の修学旅行で買うんだな」
小六なんだからあるだろ。
「えー。オレの小遣いの残り減るじゃん」
……結局俺等と同じじゃねぇか。
「まぁ少しは期待しておくぞ」
「ってオレはにーちゃんの分買わなきゃいけねーのかよ!?」
「当然だ」
「うーわ、うーわ、にーちゃんずっこ!」
何を今さら。
「京都だったか? 俺は八橋がいい」
「じゃあオレカステラな。にーちゃん達長崎だろ」
「…………」
「何で黙るんだよ!」
カステラはかさばりそうだなぁ、と思って。
「小さくて安いものがあったらな」
「結局安モンかよ!」
「ガチャポンよりいいだろ」
「最初そのつもりだったのか!?」
何も無しは可哀想かと思ったしな。
あるのかは知らないけど。
「純お兄ちゃん~」
「あ?」
……何を言おうとしてるのかが顔から凄く分かる。
「お土産なぁに~?」
「あま〇うのハイ〇ュウでいいな」
「え~。それは吸収限定でしょ~?」
九州な。
何を吸収するつもりだ。
「忍に頼めよ」
「頼んだよ~?」
「断られたか」
「ううん~。何かストラップ買ってくれるって~」
「なっ!? オレには安モンっつったのに!」
……欲しいのか? ストラップ。
どうせほっとくだけなのに。
「純お兄ちゃんは~?」
「何を売っているかによる」
「じゃあ期待してるね~!」
にっこり
期待を裏切るな、という脅しか? これは。