112 てるてる坊主
「ねぇなっく~ん」
「んぁ?」
「てるてる坊主の歌詞ってどんなのだったっけ~?」
んんー? てるてる坊主ぅ?
「てるてるぼーずー、てるぼう「そこは分かってるよ」」
夏だ。
あぁもう、寝てたから頭回んねぇ。
桜が何か聞いてきたから答えてる、ってくらいしか分かんね。
「三番ならあたし分かるよ」
てるてる坊主の三番ねぇ……。
あぁ、小ニん時ちょっと流行ったな。
「どんなの~?」
「てる坊主の後から言うとー。
それでも曇って泣いたなら、そなたの首をちょんと切るぞーだよ」
「嬉しそうに歌うところか?」
「怖いよぉ!」
忍がここを歌うたびに回りの奴……特に先生がこわばった顔してたな。
あれは面白かった。
そうぞうしてみ?
小二の、小さめの女の子が笑みを浮かべて可愛らし~い声で『そなたの首をちょんと切るぞ』なんて歌ってんだぜ。
そら怖くもなるわ。
……今でも衰えてないんだなぁ。
「一番と二番は?」
「んー……一番が
いつかの夢の空のよに晴れたら……忘れた。何あげるんだっけ?」
晴れたら……金の何たらだったと思うが。
「金の鈴だろ?」
「清くん知ってるんだ!」
「……今のってどういう意味の言葉だ!?」
まんまの意味として受取っとけよ。
「二番はなんだっけ?」
「私の願いを聞いたなら……辛いお水をたんと飲ましょ?」
何のばつゲームだよ。
「違うって。甘い蜜をたんと飲ましょ、だろ?」
違うだろ。
「甘い……お菓子をたんと飲ましょ?」
「それ飲むって言わない」
『うーん……』
こういうのって思い出せねぇとすっげぇイライラするよな……。
「とりあえず、甘い何とかだよな」
「甘いといえば?」
「お菓子!」
それはさっき言った。
「ジュース……じゃ、ねぇよなぁ」
「炭酸?」
「それジュースだろ」
「お酒!」
酒? ……甘酒か。
「あ、それじゃん!」
「甘酒って本当に甘いの? 飲んだ事ないんだけど」
純に聞いても意味無いと思うが?
「俺が知ってると思うか?」
ほら。
「……まぁ、甘いから甘酒なんだろうけど」
甘いから、本当に。
「未成年の飲酒は禁止されていま~す!」
「甘酒は酒に入らないかと」
「そなの?」
どちらにしてもてるてる坊主は飲酒とか関係ないと思うがなぁ。
「本当に晴れたら鈴とか甘酒とかあげるの?」
『まさか』
「そのままゴミ箱に直行だな」
何か罰当たりな感じしねぇか? それ。
「弟が紐巻いて砂糖水すわせる程度だな」
「しーちゃんの弟? ……紐って?」
「鈴を巻く時の鈴無しバージョン……と言ってたと思う」
結局単なる紐かよ。
「あ、でもしっかり首を切り落とすのはやる」
「どっちかというと千切ってるだろ?」
…………。
罰当たりな奴等だな! 本っとに!