110 だーつしよー
「ていっ」
すとっ すとっ すとっ
「えっと~……真ん中と~、十五の二倍と~、七の三倍で~……百一点~!」
「おっしゃっ!」
岳だーっ。
父さんが何処でか知らんけど前に貰ってきたダーツやってんだ。
「あ~、そうだ~。岳お兄ちゃん~、これで一番点数たくさん取れるとこ教えてあげようか~?」
は?
「んなもん真ん中の五十点だろ?」
「違うよ~」
んじゃー何処だよ?
「ほら~、ダーツの二十点の扇形あるでしょ~?」
ん。
「で~、それの一番端っこの太線が二倍で~、真ん中の太線が三倍だよ~?」
…………あっ!
「そっか、二十の三倍は六十だから……」
「ぴんぽ~ん~」
よっし、んじゃーこれからそっちを狙おう!
「てぃっ」
「二十点~、一点の三倍~、五点~。惜しいね~」
ちぃ。
「でも岳凄いじゃん。あたしなんて真ん中狙って端っこまでずれるんだよ?」
「純お兄ちゃんは文字に当るよね~!」
対して変わんねーじゃん
あぁ後、にーちゃんそこに居るんだけど。
表情的に怒ってるなー、ありゃ。
「よしっ、もっかい!」
とぉっ
「五点の三倍~、一点~、十八の三倍……ってえぇっと~」
「十八の三倍は五十四だ」
「って、十八の三倍も真ん中より大きいじゃん」
ちょっと待てよ?
んじゃー、とーぜん十九の三倍も真ん中よりおっきい訳で。
「あ~、十七の三倍も大きいよ~。五十一だ~」
……真ん中より大きい所って、意外と多かったんだなー。
「もっかい! とっ」
「六十点~! 全部二十点だ~」
何で綺麗に二十の三倍の所にいかないんだよ!
「岳お兄ちゃん~、貸して~」
「ん」
「えい~」
すと、すと、すと
「二十点の三倍、十九の三倍、十八の三倍……って、えぇっ!?」
「えへへ~、百七十一点~」
ウソー……。
「おまっ、百八十点いけるんじゃねーの!?」
「無理だよ~」
そうかなぁ……。
「だって~、全部は枠に入りきらないもん~」
あ。