11 バレンタイン恐怖症
さぁて、どーするか……。
岳だっ!
さて、いきなりだけどオレは今も~れつに悩んでいる。
理由は……
昨日光にもらったチョコ!
もう見た目的に完全危険物なんだよな。
だって、だってな?
どっからどう見ても魚の形してるんだぜ?
しかも丸々一匹分。
オマケにチョコの所々に変な凹凸が……。
捨てたりなんかしたら絶対に光に泣かれるしなぁ……。
ねーちゃんのと一緒に食べたらまだましかと思ったら、ねーちゃんバレンタインのこと完全に忘れてたとか言うし。
……ここは一つ、勇気を出して!!
「にーちゃーん」
「あ?」
にーちゃんに食ってもらおう。
ん? 自分で食うとでも思った?
馬鹿! そんなのは自殺行為というものだぁぁ!!
「目、閉じて口開けて」
「ヤだ」
「そんなこと言わずに!!」
とか言っても効果が無いのは分かりきっている!
ってな訳でオレはにーちゃんに飛び掛~る!!
どかっ
「イッテェ!!」
殴られた。
家庭内暴力だっ!!
「訴えてやるぅ」
「ったく……わーったわーった。貸してみ」
「やたっ!!」
にーちゃんって泣いたら動いてくれるんだ。
初めて知った~。
……と、感動したオレは馬鹿だった。
ずぼっ
「あぁぁああんぎゃぁぁぁぁああああああ!!!!」
ま、不味い! 前に食わされた真っ黒めざしと同じくらい不味い!!
ちくしょ~、忘れてた。相手はあのにーちゃんだ。
自分に被害が行くようなことをしないに決まっている!!
でもオレの口の中に突っ込むのはどーよ?
こうなったら……次の手!!
「ねーちゃーん」
「ヤだ」
「まだオレ何も言ってねーよ!?」
「さっきの叫び声と純兄の部屋の会話とその手に持った無残にも頭が食いちぎられたいわしチョコ」
む。聞かれていたのか。
流石地獄耳ねーちゃん。
ってゆーか、この魚っていわしだったんだ。
「それからしてどー考えてもそれをあたしに食べさせるつもりでしょ」
「Yes!」
「グッバイ」
「しつれーしましたー」
っと見せかけて!!
「食らえー!!」
猛スピードでねーちゃんの方へダッシュ!
もちろん突き出した手にはいわしチョコ!!
「とう」
「んぎゃぁっ!!」
は、入った。
鳩尾にねーちゃんの蹴りが入ったぁ……!!
食らったこと無いやつは分かんねーだろーけど、マジでこれ痛いんだぜ?
「ぐおおおおお……」
「とどめっ」
「んにゃぁぁぁぁあああああ!!!!」
「……あれ~?岳お兄ちゃんどうして気絶してるの~」
「ん?光がくれたチョコがあまりにもおいしかったからだって」
「えへへ~、やっぱり生のいわしが良かったのかな~?
あ~、それとも色々混ぜたチョコレートの方かな~?
来年もそれあげよ~っと~」
……バレンタインなんて、二度と来るな!!