106 リコーダーを吹こう
ぽーぱーぱー、ぱぽぱーぽー、ぱーぽーぷー……
「リコーダーか? 久し振りに聞いたな」
「うん、五ヶ月ぶりに吹いた」
忍でーす。
棚で綺麗サッパリ忘れ去られて転がってたアルトリコーダーを見つけて、んで吹いてます。
二年の時ちょっとはまってたんだよね~。
ほんっとにちょっとだったから一ヶ月も持たなかったけど。
「お姉ちゃん~、私もやる~」
「やればー? …………あ、コレを? アルトの方を?」
「やってみたい~」
「いいよ」
……指、届くのかなぁ?
「……ラから高いレまでしか出来ないよ~!」
それはアルトだからレからソね。
「ソプラノの方やったら?」
「うぅ~、分かった~」
はーい、取りに行ってらっしゃい。
「リコーダーの何が楽しいんだかサッパリ分かんねぇな……」
「純兄、リコーダーは中の下だもんね!」
「……上の上に言われると馬鹿にされてるとしか思え「馬鹿にしてるんだよ」……」
純兄に勝てるのなんて殆ど無いんだもん!
「お姉ちゃん~、取ってきたよ~」
「おー、おかーり」
ソプラノリコーダーって、アルトリコーダー見た後だと凄くちっちゃく見えるよね。
「にーちゃーん! 百マス計算! 今日こそ勝つっ!」
「後数十年は無理だろ」
「あ゛!?」
「ほら、やるならさっさとやるぞ」
純兄も岳も、好きだねぇ、百マス計算。
「お姉ちゃん~、何吹くの~?」
「んー……、茶色の小瓶とか?」
「何~? それ~」
「こんなの」
ぽぱっぱぱー、ぽぱっぱぱー、ぴぴっぴ、ぽっぱっぴっぷっぱー
「あ~、前にお姉ちゃんが吹いてたやつ~」
「そうそう。これ楽譜」
音楽の教科書だけど。
オマケに岳のだけど。
五年のだからいいよねっ!
「高いミってどうやるの~?」
「普通にミの指して。んで、後ろの穴をちょっとだけ開けるの。そんだけ」
「お~。簡単~」
ぽぱっぱぱー、ぽぱっぱぱー、ぴぴっぴ、ぽっぱっぴっぷっぱー
「吹けるようになんの早っ!?」
「えへへ~」
前にやってたんじゃないの?
「前にお姉ちゃんが教えてくれたもんね~」
はて。それはいつだろう。
覚えがない。まさかボケたかっ!?
……ただの物忘れか。