103 何かわけのわからん事に
「修也ー、こっちこっち」
「……これってもしかして卒業まで続いたりするのか……?」
いんや。中学行っても続けるつもりだぜー、オレは。
岳だー!
何かいつも通りのようで最近ちょっと変わったとこがあんだよな。
それは……。
「修也がホーキを使わなくなった!」
「何を今さら……」
あ、声に出てた。
何か修也曰く気分的に自分が悪いような気がしてくるかららしい。
何を今更。
「岳くーん!」
「岳お兄ちゃん~」
「……岳、くん」
あ、美代含め妹三人組。
「あ~っ、岳お兄ちゃん後ろ~!」
「んぁ?」
『ぴゃぅぁ!?』
どんな驚き方だよ。
「何も居ねぇじゃん」
「何々!? もしかしてユーレイ居ちゃったりするのォ!?」
里山大正解。
……いや、何か今回はでっけー耳がついてるけど。
ほら、えーっと……うん、何か分からんがでっけー耳がついてんだ!
で、耳で立ってんだ。
「なんじゃこりゃぁ!?」
「おい高山、お前は頭がおかしくなったか」
せめて疑問系にしてくれよおい。
「なんじゃこりゃぁ!?」
『え?』
せんせーもまさか見える人?
「何々!? ビデオカメラがどーしたのォ!?」
「見せて!」
………………。
沈黙。
『なんじゃこりゃぁ!?』
あれ?
「どーなってんのアレ」
「さ~?」
「凄いよ! ひーちゃん! カメラにね! 目では見えない変な物体が映ってんの!」
まさかそれって……。
『むみゅみゅ! 変な物体とは何でしゅかぁ!?』
『お前だよ!!』
あれぇ?
あのカメラ越しだと皆にも見えてんのか?
『みゅーちゃんは変な物体では無いのでしゅよぉ!』
『ドコが!?』
『ちゃんと耳で立って『おかしいだろ!』みゅみゅっ!?』
えー……なんだろ、なんなんだろコイツ。
「おーい、ちょっとお前」
『みゅーちゃんはお前では無いのでしゅ』
「いや、それはいーから『よくないのでしゅよぉ!』はいはい」
何かすっげー疲れんだけどコイツ。
「はい~、みゅーちゃん~?」
『はいでしゅ』
はいにも『でしゅ』ってつけんのかよ。
「私の質問に答えてね~」
『おっけーでしゅ!』
「みゅーちゃんは幽霊~?」
『違うでしゅよぉ! 何を隠そうみゅーちゃんは妖怪なのでしゅ!』
『妖怪!?』
実在するのか!?
しかも隠せてねーし。
いや、幽霊が居るんだから妖怪が居ても……
「おかしいだろ!」
やっぱおかしいか。
「何でお前等何も無しでそいつ見えてるんだ!?」
あ、そっち?
「何でって言われても……なぁ?」
「ねぇ~」
まずはそのビデオカメラから突っ込むべきじゃねーかなー。
『むみゅみゅっ! そーいえばそーなのでしゅ! 何ででしゅか? なんででしゅか?』
「だぁもう! 見えるもんはしょーがねーだろ!」
「死神トリオに分けてもらったら見えるよ~」
『死神ぃ!?』
何か……余計話がややこしくなった気がする。
「よばれて飛び出てなんとやらー! 未理阿ちゃんでした!」
「噂をすれば影が差すー。霧瑠依くんでしたー」
……あれ、こいつらって確かねーちゃんが言ってた……。
忘れた!
「あぁっ!? 先生のお菓子が凄く減ってる!?」
「おかしいよ! お菓子が浮いてるの!」
「あ、カメラで見たら何だか人が増えてる……」
「未理阿ちゃん、これおいしいよー」
……すっげー早業。いつ盗った!?
「いっただっきまー」どかっ
『わーっ!』
あれ、何か急に二人吹っ飛んだけど。
「貴様等……これは遊びでは無いと何度言えば分かる?」
なんか知らんがさらに増えた!?
「あぅ、妙羅先輩・・…」
「いきなり蹴るのは酷いですよー」
「知った事か。ミュウ、お前も勝手に人間界に出るな」
うわっ踏ん付けてる。止めた方がいいか?コレ。
『あ、みょーら! みゅーちゃんね、みゅーちゃんね』
「黙れ。勝手にふらふらするな」
『はーい』
うっわ、素直!
「貴様等もいつまで転がっている。戻るぞ」
「先輩が吹っ飛ばしたんですけどねー」
「じゃっ! おやつもおいしかったし帰るでした!」
……窓から出入りするのは死神と妖怪のお決まりなのか!?
「……衝撃映像が取れた……さすが『卯津屡出』だ」
『何だよそれ!?』
当て字にしか見えねぇっ!
あ、当て字か。
「岳……なんだったんださっきの?」
「知るかよ!」