102 強いものいじめ?
「なぁ」
「えー、なっくん、また鉛筆なくしたの?]
「おーい」
「机の下は? 鞄の中は? ……えーと……ゴミ箱ん中は?」
「いや俺イジメられてんじゃねぇから」
「おいってば」
「だよねぇ」
「無視するなぁ!」
ひゃわっ!?
びっくりしたぁ……。
忍でーす。
誰だよー、後ろで突然怒鳴ったのは。
くるっ
…………。
「誰だろう」
「おいっ!!」
テンション高いなぁ。
さてさて、顔に見覚えはあるんだけど、誰だったかな。
「あ、確か……悪ぃ、自己紹介してくれたことは覚えてるが忘れた」
「忘れるなよおい!」
しょーがないよ、なっくん忘れんぼだし。
あぁうん、あたしがいえた事じゃないね。
「村田だよ! 村田岬」
『誰だっけ』
「忍、コイツのゆーこと聞かなくていーって」
あれ、清が妙に冷たい。
…………あぁっ!!
「水谷イジメのAだ!」
「A!? 何で俺がA!? 後なんか人聞き悪ぃぞ!?」
はい、分からなかった方は41話参照。
「だーって、ねぇ?」
「事実だからなー」
「ちなみにあれから水谷に謝りましたA君?」
「だぁもう! 今まさに俺がイジメられてるよな!?」
あら、やっぱり可哀想かな。
「ごめんね、えっと……で、謝った?」
「はぁ……何でこんな奴に話しかけてんだ俺」
聞こえませーん。
「うぅ……もー、謝ったよ、謝った」
ありゃ、素直な奴。
どんな謝り方したんだか知らないけど、いじめっ子が謝ったって凄くないかなぁ。
「で、何の御用で?」
「あぁ、それ。やっと本題に「早く話さないとAって呼んじゃうよ」はぁ……」
溜息二回目ー。
「お前さ、妹いる?」
「いるよ?」
それが何か?
「そいつ、今小四?」
「そーだ……って何!? まさかうちの光を……」
って、こないだ初めて読んでみた小説でこんなのを見た事があるなぁ。
「いやそれ意味分かんねぇから……って、光? やっぱそっか……」
何が。
「ところで村田ぁ、おめー顔青くね? 大丈夫か?」
清、何かさっきと態度が百八十度変わっております。
「大丈夫……じゃ、ねぇかも」
「何? 変なもの食べた? 拾い食いはダメだよ?」
「あぁうん、分かってる。昨日思いっきり思い知らされた」
えっ!? 否定しようよ『拾い食いなんかしてねぇ!』って否定しようよ!
「拾い食いしたの? 何を? どんぐり? 梅? リンゴ?」
「全部今の季節じゃ落ちてねぇよ!」
「しかもリンゴて」
冗談に決まってるでしょ!
「いや、そうじゃなくて……テーブルに置いてあったカップケーキ食っただけ」
「それ拾い食いって言わなくね?」
「どちらかと言うと盗み食いかつまみ食いだね」
あたししょっちゅうやるけど。
昨日もなにやら妹三人組のカップケーキのちゃんと出来た奴つまみ食いしたし。
美代はちゃんと作ってくれるからね!
何個か変なのは作ってたけど……。回収してくれたし。
『兄上にお土産』って言っ……あれ?
「もしかして……そのカップケーキ、黒かった?」
「あぁ、チョコかココアでも入ってんのかと思って食ったら……」
一瞬の沈黙。
そして。
「焦げたトースト味って何なんだよっ!?」
叫んだ。
「焦げたトースト味ぃ? あ、春の奴が言ってたな。『今回は凄く新しいよ!』って」
どういう意味で新しいんだろう……。
少なくともいい意味じゃないね。
「お前の妹も共犯か!」
「あれ? 美代の兄さんって村田だった?」
「そーだが何か!? 三日前も『兄上お土産』って焦げたべっこう飴渡してくれるし! 何なんだよ!」
さて、一つ疑問が浮かびました。
美代は村田の焦げたべっこう飴を食べた時の写真を本当に撮ったのだろうか。
撮ったんだったら今度見せてもーらおっと♪