101 清、宿題をする
「よし!」
『ん?』
「今度こそ……オレはやる!!」
……何を。
忍です。
いや、何かね。
今数学が終わったところなんだけど、突然清が叫びだしたんだよ。
「何するの~?」
「宿題!」
『今までやってなかったのかよ』
わぁ、コレがハモるってちょっと凄くない? ほら、長いし。
「やってなかったと言うかできなかったと言うか」
どっち?
「とにかくっ! オレはやるぜ!」
どーん
うーんと、この場合背景って荒波の方がいいのかな、爆発の方がいいのかな。
「うっ」
あれ? 何かプリント広げた瞬間動かなくなった。
「いきなり難問が……」
「さっきの授業でやったばっかだろうが」
「夏、コイツにそんなのは関係ねぇ。ば「馬鹿だからな!」……」
あ、純兄が清にらんでる。
で、何か拳作ってる。
つまり。
「開き直るな」ドスッ
こういうことだよね。
「純君のパンチ……あれ? 突き? が、清君の鳩尾に直撃!」
「ぐおぉぉおおおおおお!? ちょっ純! 今のマジで痛ぇぞ!?」
「当然だろ?」
「ははっ、相変わらず」
「夏そこ笑うトコじゃねーっ! そして当然でもねーっ!」
なっくんにそんなものは通用しなーい、純兄にとってはそれがとうぜーん。
「で、いつコレはやるの」
「篠ー、助けてくれてもよくね? 色々から」
「……ふむ」
しーちゃんが筆箱を探って……取り出しましたるは。
はさみ。
「えー……篠さん、それは一体なんでございましょう」
「見て分からないか、はさみだ」
流石にそれは分かってると思うんだけど……。
「それで何をしようと?」
「ふふ」
怖いから! その笑み怖いから!
「と、冗談はともかく。やるのかやらないのか」
少しいいですか? さっきの少し本気に見えたのですが。
と、言っても聞き流されるだけだよねー。
「やりますから教えてくれ! 答えを」
意味無いじゃん。
ちなみに、一問目は展開でこんなのね。
問一 (x+3)(x+5)
……清、本格的にヤバイかも。
「は~い清君、ちなみにドコまで分かる?」
「コレが暗号だという所まで……」
「あほだろお前」
「数学のみという意味なら何を今さら」
開き直るな。
「じゃあ基本の基本から言うよ? これは乗法公式Ⅰを使って……」
「あ、それなら分かる」
「じゃあ解けるだろ」
「へ?」
いや、そこで『ヘ?』って聞かれる方が『へ?』何だけど。
何で乗法公式Ⅰが分かるのに解けないの。
「aもbもねーじゃん。ほら、乗法公式Ⅰって(x+a)(x+b)だろ?」
『はぁ!?』
「……清、この場合は多分アンタの言ってるaが3でbが5」
清、ちょっと沈黙。
「あぁ! そーゆー事!?」
『はぁ!?』