10 チョコって美味しいよね♪
今日って何かあったっけ?
忍でございまーす。
なんかね、女子の殆どがそわそわしてるように見えるんだよ。
もう一度聞きます。
今日って何の日?
「忍~、はい」
「ん?」
チョコケーキ?
あ、この子はあたしのクラスメートの山内桜。
中一ん時からの友達で、結構仲良いよ。
あ、そうだ、言ってなかった。
あたしと純兄は中学二年。
ちなみに、あたしも純兄も三組ね。
「ね、今日って何かあったっけ」
「え?」
そんなに目真ん丸くして驚かなくても。
「え、え、本気で言ってる?」
「うん」
「今日、バレンタインだよ?」
「…………あぁ!!」
「忘れてたの!?」
だって、ろくに参加したこと無かったもん。
「とりあえず、はい」
「ありがと!ホワイトデーにでも返すよ」
覚えてたら。
「うん。……あ、もうSHR始まる~」
「ん、じゃね~」
う~ん、しっかしバレンタインか。
……国語の時間が楽しくなりそうだ。
六時間目、国語。
途中はあんまり面白くなかったからはしょるね。
「ほーい、授業始」
「ぶーちゃん! 彼女にチョコもらった!?」
「いきなり!?」
うん、こうなると思ったよ。
国語の担当、東田孝義先生。
太っていて顔が赤いということでつけられたあだ名が『ぶーちゃん』
これを許してるんだから心が広いんだかダメな教師なんだかわかんないんだよね
顔が赤いは関係ないんじゃないか?
豚ってピンク色のイメージあるもん。
ほんものは見たこと無いからよく知らないんだけど。
で、東田せんせには彼女が居るらしい。
……あ、あたしはぶーちゃんって呼ばないよ。
だって他の教師に怒られるのイヤだし。
「で、で、で? もらったの?」
「えー、えー」
「なに? もらったのもらってないの?
あ、もらってないんだったら自分のあげよっか」
「いや、もらった、もらった」
『どんなの!?』
「そこに食いつく!?」
そりゃー気になるでしょ。
「普通に、ちょっと苦いやつ」
『手作り!?』
しっかし見事なハモりだ。
一部だけど。
「いや、市販の高いやつだけど?」
「あぁ~、愛が無いんだ」
「まぁ、捨てたんだしね~」
ドンマイだぁ。
「待て待て待て待てぇい!! いつ捨てた!?」
『え、違うの?』
「違うから!!」
『だって噂では』
「いい加減ハモるのやめい!!」
ここまで来ると打ち合わせたみたいになってくるね。
「ほらほら、授業始めるぞ!」
もうやけくそだね。
「はい、四段ら」
「ぶーちゃん、オレ読む!」
この光景見るとなんとなく小学生かって言いたくなるんだけど。
「分かった分かった、読んで」
「カルは腕に唸りを上げてツカサのチョコを殴っ」
「カルはそのチョコにどんな恨みが!?」
「怒ったツカサもカルのチョコを砕く」
あれぇ、この話って何かいわゆる『美しい話』ってイメージがあったんだけどなぁ。
どろっどろだね。ちゃんと読んだらいい話なのに
チョコ、恐るべし?
サブタイは思いっきり本文とは関係ありません。
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