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ゼクシィには載ってなかった事  作者: 白い黒猫
ドレスを選んでみたり
25/40

幸せになるための27のドレス

挿絵(By みてみん)


 黒くんと実和ちゃんの結婚式も、いよいよ具体的な式の打ち合わせ段階にはいったようだ。

昼休みに、ゼクシイでドレスのページを見る眼も違う。以前の夢見るような柔らかさは薄れ真剣なものになっている。黒くんも、男性なのに、意外な事に楽しそうにその写真を見ている。

「こういうのも素敵だよね~」

「友ちゃんだったら、着こなせそう!」

「こういう光沢とハリのあるものも素敵よね」

 逆に私と夏美ちゃんと友ちゃんの既婚三人組は、脳天気にドレスの写真を見て楽しんでいた。

 寧ろコレから結婚する二人よりも盛り上がっている。黒くんは流石に、奥様三人のパワーに押されているというのもあるのかもしれないけど。

「あの、皆さんはどういう感じでドレス選ばれたのですか」

 実和ちゃんは、首を傾け、そんな三人におずおずっと聞いてきた。

「なんとなく、フィーリング」

 簡潔に答える友ちゃんに、夏美ちゃんも『そんな感じかしらね~』と頷く。

 二人ともイメージをしっかり持って真っ直ぐすすむタイプだから悩んでいないんだ! と感心してしまった。

「なんかね、ドレスってまず自分の長所を引き立てるタイプがどれかをまず考えるといいらしいよ」

 二人の返事に、惑いを増していた実和ちゃんにフォローするように私は言葉をかける。受け売りの言葉だけど……。

「長所ですか?」

「可愛らしさを引き立てるなら、柔らかいデザイン選ぶべきよね? 逆にクールな雰囲気の人はシンプルなラインの方が似合うし」

 実和ちゃんは、眉をますます寄せ『ウーン』と悩む。

「西河さんは、柔らかいタイプのほうが似合うのかもしれないね」

 友ちゃんは、フワッとしたドレスの写真を指す。でもスタイルが良い外人さんが着ている写真だとイマイチ自分でのイメージが湧かないのだろう。

 実和ちゃんはジッと雑誌を見つめ悩んでいる。そんな時に、私の頭にある事が閃く。

「あのね、ドレス、コレのポイントだけを抑えていたら、後悔すくないかも!」

 夏美ちゃんが私の顔を見て、目で「アレね!」と言ってきたので私は頷く。

「コレ夏美ちゃんと導き出した定義なの! 結婚式の時、招待客から花嫁がどう見えるかを考えてみたの! するとね、教会の時は後ろ姿しか見られない。となるとバックスタイルが綺麗なドレスのほうが断然見栄えがいいの」

「なるほどね」

 黒くんが納得したように頷く。

「また、披露宴会場の事を考えると、椅子にずっと座っている状態が長い。トップがシンプル過ぎるドレスだと、後で写真を見ていてもチョット寂いの。バストアップにもポイントがあるものを選ぶと間違いないと!」

 ドレスは選ぶ時、スカート部分の華やかさに目が行きがち。でも、教会での印象はバックスタイルの方が残りやすい。披露宴会場では写真に残るのは、バストショットの方が多い物である。

「月ちゃんさ、ソレ私の時に先に教えてくれれば!」

 友ちゃんが、チョット恨みがましい目で見つめてくる。私達は笑って誤魔化した。

 友ちゃんは実和ちゃんと違って、悩む事も相談されることもなかったので言いそびれた。

 どちらかというとクールな雰囲気のドレスを選んだ友ちゃんは、それが抜群に決まっていた記憶がある。

「あれ?友ちゃんのドレス、凄い素敵だったよね?

 友ちゃんらしいというか。あと色ドレスの帽子も格好よかった」

 友ちゃんは、ウーンと唸る。

「でも、今の話聞いちゃうと、確かにそこは意識してなくてしまったな~と思うのよね」

 散々悩んでコレがベストと考えてやったとしても、後で後悔するポイントが出てくる。そこが結婚式の困ったところである。

 だからこそ、それを後生の人に伝えていくのも大事な事なのだろう。

「あとさ、折角だから。白ドレスとカラードレスは全くタイプの違うもの選びたいよね~」

 ブツブツと言い出した友ちゃんの気を紛らすために、私は話題を変えることにした。

「私の場合、白はエンバイアラインで、カラードレスはプリンセスラインにしたの。

 夏美ちゃんはスレンダーライン?かAラインとプリンセスだったよね、友ちゃんはレンダーラインとマーメイドだったよね」

「私はAラインだったような。スレンダーだとなんかガリガリに見えるから」

 夏美ちゃんが補足してくれた。

「エンバイアラインってどんなのですか? 月さんのドレス、Aラインだと思っていました」

 エンバイアラインはサイトやお店によっては、そういった分類で紹介されていない場合がある。

 よく妊婦さんが選ぶタイプのウェディングドレスというと分かりやすい。

 私のように背の低い人とかにもよくスタイルをチョットよくみせることができる。

「基本Aラインなんだけどハイウェストのデザインなの」

 ハイウェストな事で重心が上に来ることで、足が長く見える。私のような胸なし、ガリガリな体型もカバー出来るという優れもの。

「月ちゃんのドレスがエバイアラインだったのね。そのライン、デブ隠しデザインだと思っていたけど、細い子が着たら綺麗なラインになるのね」

 友ちゃんがサラリと、身もふたもない事をいう。ポッチャリとした実和ちゃんが、『デブ』という言葉に反応して顔を引き攣らせる。

 その様子にハッとした顔をする友ちゃんが、珍しく慌てたように言葉を続ける。

「西河さんは、どうかしら? エバイアラインはウェストがなくも見えるから。

 かえってスタイル悪く見えるかもしれないわよね。無難にAラインとかにしたほうがいいのかも」

 実和ちゃんは困ったような笑みを浮かべ聞いている。

「プリンセスラインで、西河さんのまろやかさ協調するのも可愛いかも」

 フォローになっているのか、なってないのか分からない事を夏美ちゃんは言った。

幸せになるための27のドレス(27 Dresses)

2007年 アメリカ 111分

監督:アン・フレッチャー

脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ

キャスト:キャサリン・ハイグル

ジェームズ・マースデン

エドワード・バーンズ

マリン・アッカーマン


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