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ゼクシィには載ってなかった事  作者: 白い黒猫
指輪に纏わるエトセトラ
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それでも恋するバルセロナ

挿絵(By みてみん)


 私と大陽くんは悩みながらも、なんとか期限内に出席者の絞り込むことができた。

 お互い三人兄弟で、親も兄弟が多く家族親戚だけで半分以上をつかってしまった。その残りをそれぞれの職場の人、友人と割り当てなければならなくて、結構それが大変。

 出席すると名乗りあげてくれた方。予め出席を依頼した方。メンバーがなんとか固まった上で、結婚式の招待状を出すというのは、なんか無駄にも感じるかもしれない。

 あの真っ白で大きい封筒に入ったカードを送り、戻してもらう所から、結婚式という儀式が始まる。

「確かにリストを承りました。宛名の方はコチラを参考に用意させて頂きます」

 ウェディングプランナーの田中氏に出席者リスト渡す。

 私も大陽くんも毛筆どころか、普通のペン字にも自信がない。かといってプリンターでの文字も味気ないのでプロの方にお願いすることにした。

「お願いします」

「席次表と名札の方が、大陽様が手作りされるのですよね?」

 何度もこのように確認する。くどいようだけどこういう打ち合わせにおいては重要な事なのだ。

 一応見積もり等で書面にしているものの、言った言わないという問題が結構出やすい。

 私達はまだ短期間だけど、人によっては式場を抑えてから一年ほどの長い付き合いになる。

 繰り返すことで互いの意思を疎通させておく必要もあるのだろう。

「はい!」

 私は笑顔でキッチリ応え、コチラの意思を示した。

 まだまだ式まで日数もあることで、ホテルとの打ち合わせというのは実はまだそんなにない。

 二ヶ月ほど前から、より詰めていくことになる。お茶を飲みながら簡単な雑談を三人で楽しむ事になった。

 後になって思えば、この頃が結婚準備期間の中で一番穏やかで平和な時期なのかもしれない。

「今から色々、忙しくなりますよね。新婚旅行先とか、もうお決まりですか?」

 田中さんの言葉に二人で顔を見合わせる。

「何処行くか悩んでいるんですよね。私はスペインがいいかなと思っているのですが」

 そして大陽くんは、ラスペガス・ハリウッド方面に行きたいようだ。

「まあ、ご夫婦になればコレからもいくらでも行けます。先ずはロマンチックな所とかいするといいかもしれませんね」

 ロマンチックといったら、情熱のスペインと魅惑のラスベガス・夢のハリウッド。若干スペインの方が勝ち? どう? と大陽君に視線で聞いてみる。「ん~」といった顔で見返してくる。

「あと、ハネムーン休暇だと会社で長期の休みを堂々ととれる機会。この際ノンビリ楽しみたい場所。行くのがチョット大変な遠い場所とかいった所を選ぶのもいいとか言いますね」

「なるほど、確かにそれは言えていますね。逆にグアムとかサイパンとかいつでも行けそうだしね」

 大陽くんも納得したように頷く。

「ハネムーン特割も、この機会に使うのもいいですよね!

 あっ。国やツアーによって、入籍してないとダメな事もあるので、そのあたりは注意して下さい」

 流石、ウェディングプランナー。式の事だけでなく結婚関連の事まで色々なノウハウをもっているようだ。  私は思わず尊敬の眼差しで田中さんを見つめてしまった。

 感動でお礼を言って褒めまくってしまうと、田中さんは酷く照れたように笑い首を横にふる。

「といっても、私は結婚はまだなので、ハネムーンについては憧れな気持ちで言っているだけなのです。

 この職業は結婚に関してだけは耳年増になって。

 これだけいろいろ楽しそうな結婚式とか見守り続けていると自分の結婚式の時に感動できるのか不安になってきます」

「でも、田中さんのノウハウがあれば、それこそ結婚式は最高のモノに出来そうですよね!」 

「だといいですね」

 田中さんは嬉しそうに笑った。

 楽しい打ち合わせも終わり、ホテルを後にした私達、話の流れでそのまま旅行代理店へと向かう。

 なるほど、ハネムーンプランというのは結構色々あるようだ。

 場所は限定せずに、ヨーロッパ、アメリカ、南米、カナダ等のハネムーン関係のツアーのパンフレットを集めた。それをもって喫茶店に入る。

 旅行のパンフレットって、なんで見ているだけでこんなに面白いのだろうか?

 大陽くんと、はしゃぎながら、『コチラもいいね』とかいいながら絵本を楽しむかのようにパンフレットを見る。

「ところで、百合蔵さんはなんでスペインに行きたいの?」

 大陽くんは、スペインのパンフレットを見ながら聞いてくる。

「バルセロナに行きたいの。あの国の風景・空気を味わってみたいというか。

 まあ美術館の作品は日本にくることはあるけど、ガウティーの建築とか行かないと見られないでしょ?

 大学時代の友達もね、ガウディ-の建築を観に行って人生一八〇度変わったと言っていたの!

 あとね、姉もスペインに新婚旅行行ったのだけど、モンセラート修道院が感動ものふぁったって!

 あとそこで食べたチーズがまた、最高に美味しくて人生が三百六十度程変わったと言っていたかな」

 チーズの下りでは、大陽くんはブッと笑う。

 どのくらい人生が変化したかは、当社比レベルのようなもので分かり辛い。しかしスペインは様々な人の人生に影響を与える国なようだ。

「さっきの話からもさ、新婚旅行はスペインにしない? せっかく12日も長期で休めるなら、スペインのほうがいいと思って」

 憧れのスペインに行けるのは凄く嬉しい。

「いいの?」

「ラスベガスとかハリウッドって結構もう少し短くて安く楽しめるツアーってありそうだね。今度いけばいいかなと。それに、スペインって料理すっげー美味そうじゃない?」

 大陽君は、そういってパンフレットにある色鮮やかな料理を嬉しそうに指さす。

「だね、美味しいものをいっぱい食べよう!」

 二人でニッカリと笑いあう。

 なんか色んな事が、溜まらなく楽しそうに思えてきた。二人でこれから結婚式だけでなく、思い出を積み上げていけるんだ。その事が溜まらなく嬉しい。

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