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あゝ結婚

コチラは第三弾となっていますが、第一弾『半径三メートルの箱庭生活』と主人公が同じで、言い換えると月ちゃんシリーズ第二弾。

『半径三メートルの箱庭生活』の一月後からの物語となっていますので、ソチラを先に読まれたほうが世界に入りやすいと思います。

挿絵(By みてみん)


 壁一面に、所狭しとカップとソーサーが飾られた喫茶店。店員がお客様のイメージのカップで出してくれるというこのお店。

 私の前にはラッパのように上に広がった形の青い小花のカップが置かれている。前に座る女性には、ピンク色で花が大きく描かれた華やかな丸みを帯びた形状のカップが置かれている。

 目の前で瞳を幸せに潤ませ、幸せオーラ全開。そんな後輩の西河実和ちゃんの様子を見ると、なんかそのカップのチョイスを納得してしまう。


 彼女の大きめなバックにチラリとある雑誌が見えている。会社帰りに、一緒に寄った本屋で買ったもの。

 私は超能力者ではないので人の心を読む事は出来ない。しかしその後彼女が話してくる内容はなんか予想できた。

「月さん聞いて下さい! 黒沢さんからプロポーズの言葉を頂いたんです」

 私は予想できていたが、初めて知って驚いたフリしてから笑顔を作る。そのほうが、彼女も嬉しいだろうし。

「え、そうなんだ! オメデトウ! やったね」

 実和ちゃんは笑顔を弾けんばかり輝かせ、大きく頷く。

「『私のギリシャ式結婚』観た後……素敵なイタリアンレストランで誕生祝いして――」 

 な、なんて素敵な状況なんだろうか。ああ、でもそこはギリシャ料理レストランに行ってもらいたかったかもしれない。

 あの結婚気分を最高に盛り上げてくれるハッピーな映画を観る。そのあとに、イタリアンレストランにて恋人二人で誕生祝い。

 プレゼントに指輪でプロポーズ。私は同期であるその相手の男性の事も見直してしまう。

 私も彼女のプロポーズエピソードを嬉々として聞き入ってしまう。真実の(A TRUE)物語( STORY)なだけに伝わってくる感動が生半可ではない。

 人の不幸は密の味と言うが、人の幸せはその何十倍の甘い蜜の味だ。私も思わずニコニコしてしまう。

 しかも私は彼女が、相手に一年ほど片想いしている所から見守っているので、その喜びも一入である。

「是非、結婚するに当たって、月さんのアドバイスを頂きたいんです!」

 ホクホクと可愛い後輩の幸せを喜んでいた私は、その言葉に笑いが一瞬強張る。

 目を夢と希望でキラキラさせている可愛い後輩を前に『ウーン』と悩む。

 別に、応援したくないとか、手伝いたくないとかいうのではない。

 映画並にロマンチックなプロポーズで幸せな結婚準備期間をスタートさせた彼女。それとは逆にドラマにも小説にもならないような無茶苦茶なプロポーズから結婚生活までの期間を過ごした私。

 アドバイスなんて偉そうな事してもよいのだろうか? 夢を壊しそうだ。


 彼女のバックに入っている『ゼクシィ』という雑誌の方が有効なアドバイスと情報を彼女に与えるだろう。『ゼクシィ』結婚する人間にとってはバイブルともいえる雑誌だから。

 女性にとって、この雑誌を手にしてレジに行くという時の気持ちというのは格別なモノがある。

 この本を買うという段階になり、『ああ、私結婚するのね』と実感できる。

 またコレを堂々と買うことで自分が幸せだという事を世間に向かって声高々に示す。そこに自分がれない映画の主人公になれたような気持ちよさがある。

 女性は、『ゼクシィ』というガイドブックを胸に抱き、夢と希望に満ちたキラキラの結婚式への道のりを歩き出すもの。

 しかし、このガイドブック通りに行かないのが、人生の旅というもの。


 まあ日本には反面教師という素晴らしい言葉もある。後輩こそは、素敵で楽しい結婚準備期間を過ごしてもらいたい! そう思い、私は静かに頷き口を開く。

「任せて! 全力で応援するから」

「はい! 宜しくおねがいします」

 実和ちゃんは、ペコリと可愛く頭を下げる。

この後の物語、月ちゃんの結婚前の物語と、結婚して一年目の物語が交錯して進んでいきます。

そこまで複雑ではありませんが、その後の物語は過去の物語は『月見里百合子』現在の物語を『大陽百合子』というロゴを話の先頭に付けさせていただいています。


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