へび
くさわけ、くさわけ、森をわけ
へびがニョロニョロ、森をわけ
くさわけ、くさわけ、森を抜け
一本道に出た
砂利道に出た
へびはニョロニョロ、道を行く
小石に身体を擦りつけ、
梅を鼻に漂わせ、
へびはニョロニョロ、道を行く
すると、前方に落ちていた
キラキラ輝くお人形
可憐な顔立ち、お人形
「なんてきれいなお人形さん」
「こんにちわ、へびさん」
「こんにちわ、きれいなお洋服ですね」
「まぁ、ありがとう、たくさんの宝石が散りばめられているの」
「宝石ですか」
「そうよ、ダイヤモンドにアメジストにトパーズに」
「それは美しいですね」
「そうよ、自慢のお洋服なの」
「お人形さん、もしよろしければ、僕と一緒に歩いてくれませんか?」
「あなたと一緒に?」
「そうです、この長い一本道を共に歩きたいんです」
「いいわ、喜んで」
へびはニョロニョロ、道を行く
お人形さんと共に行く
へびはニョロニョロ、道を行く
砂利で身体を傷つけながら
へびはニョロニョロ、道を行く
からしを鼻にふくみながら
ドゴーーーーン
突然の雷鳴
一本道に仁王立ち
雷神様のお出ましだ
「へびくん、君に聞きたいんだが」
「何ですか、雷神様?」
「君は彼女のどこが好きなんだね?」
「それは顔立ちやお洋服です」
「そうかね」
「はい、彼女の服には、ゴージャスな宝石がたくさんついているんです」
「それでいいのかい?」
「何がですか?」
「いや、君は顔立ちや服が好きと言った。服の中身を知りたいと思わないのかい?」
「それはですね」
「どうかね?」
「知りたいです」
「そうかい」
「彼女の服は美しいです。しかし、本当に知りたいのは服の中なんです」
「分かったよ、へびくん」
「雷神様?」
「君の願いを叶えてあげよう」
雷神様は右腕を振り上げる
右腕から閃光がはしる
上空へ閃光がはしる
ドゴーーーーーーン
突然の雷鳴
真っ黒焦げのお洋服
真っ黒焦げのお人形
「雷神様、何てことを」
「まぁ、見たまえ」
チリチリのお洋服
ペシャンコの宝石たち
ビューーーーーーー
風に飛んでいく、お洋服
風に飛んでいく、宝石たち
お人形の中に、見知らぬ卵
残ったのは、薄緑の卵
ピキピキ、ピキピキ
卵が割れた
中から現れた
ニョロニョロと現れた
薄緑の小さなへび
「お人形さん?」
「私はもうお人形さんじゃないわ、へびさん」
「僕の仲間?」
「そうよ、あなたと同じへび」
「僕の本当のパートナー」
「そう、あなたと共にこの道を歩いて行くの」
「僕は君のことをもっと知りたいな」
「私もたくさん知りたい」
「まだ何も知らいからさ」
「そうね」
「ぼくが知っているのは、君が本当はへびだったっていうだけだから」
「これからたくさん、わかってくるわ」
「楽しみだなぁ」
「私も楽しみ」
へびはニョロニョロ、道を行く
へびはニョロニョロ、道を行く
一本道を歩いて行く
砂利道を歩いて行く
梅を抱き寄せながら
からしを踏んづけながら
へびはニョロニョロ、道を行く
へびと共に、道を行く




