表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/83

第33話【氷と光の激突】

 大講堂の中央に設けられた特設舞台。

 第一試合、マユミ・シルバーレインのチームとハルト・オルディアのチームが向かい合う。


 観戦席に腰を下ろしたユウマたちは、緊張混じりの視線を舞台に注いでいた。



「いよいよ始まるな……」

 ショウが身を乗り出す。

「マユミさんとハルトさん……どちらもSクラスですし、見応えはあるでしょう」

 リナが冷静に呟いた。

 エリカは腕を組み、険しい顔で舞台を見つめる。


「――試合、開始!」


 審判役の教官が合図を告げる。



 ハルトが前に進み出ると同時に、仲間たちの体が淡い光に包まれた。

「《ブレイヴ・ライト》!」

 味方の身体能力を底上げする光の加護。剣士が疾走し、魔法使いが詠唱を加速させる。

 その姿はまるで物語に語られる勇者のようだった。


「光で仲間を強化する……なるほどな」

 ユウマが小さく感心する。

「味方全体の戦力を底上げするなら、確かに勇者型ですね」

 リナが頷いた。


 一方、マユミは舞台の端に立ったまま、退屈そうに杖を握り、微動だにしなかった。


「おい、全然動いてねえぞ」

 ショウが眉をひそめる。

「緻密に戦略を立てるマユミが何もしないなんて……」

 エリカが怪訝そうに呟く。



 やがて、マユミのチームの仲間三人が次々と倒れ、戦場には彼女一人が残された。


「……やれやれ。面倒ね」

 小さく冷たい吐息を漏らし、マユミが杖を掲げる。


 次の瞬間、空間が一気に冷え込み、白い息が立ち上る。

 足元の石畳に霜が走り、氷の結晶が舞台を覆っていった。


「《フローズン・ドミニオン》」


 凍てつく気配が爆ぜ、ハルトチームの生徒三人が瞬時に凍りつく。

 動けるのはハルトただ一人。


「仲間を……!」

 ハルトが剣を振り上げ、光の刃を放つ。


 しかしマユミは氷を磨き上げ、鏡のように変化させていた。

「――返すわ」

 放たれた光は氷の鏡に反射し、軌道を変えて逸れていく。


「馬鹿な……!」

 ハルトが目を見開いた瞬間、周囲の氷が立ち上がり、迷宮のような檻を形成した。


「《プリズン・ミラー》」


 氷の牢獄。壁一面に張り巡らされた氷鏡が光を乱反射させ、ハルトの攻撃を完全に無効化する。


 マユミは冷ややかに彼を見下ろした。

「緻密な戦略など立てずとも……私の相手が光のあなたとなった瞬間から、勝ちは決まっていたのよ」


 氷鏡に映るハルトの姿は、光を放つ勇者ではなく、出口を失った囚人そのものだった。


 剣が氷に弾かれ、ハルトが膝をつく。

「……ぐっ……!」


「勝者――マユミ・シルバーレイン!」

 審判の声が高らかに響いた。



「すげえ……!」

 ショウが思わず声を上げる。

「仲間が倒れてから動くなんて……普通じゃ考えられない戦い方です」

 リナも目を細めた。

「冷静すぎる……。けど、それだけ自分の力に自信があるということね」

 エリカは唇を噛む。


 ユウマは無言で舞台を見つめる。

 ……氷と光。相性一つで、Sクラスでもここまで差が出るのか


 Sクラス同士でさえ埋められない相性の壁がある――その現実を、彼らは目の当たりにしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ