表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/83

第2話【疑惑とクラス分け】

巨大な火球が消え、訓練場に静寂が戻った。

俺は胸の鼓動を必死に抑えながら、自分の掌を見下ろす。


 ……なんだ、今のは。本当に……俺が?


視界の端に、真っ白な本が浮かんでいる。

表紙は光に包まれ、勝手にページが開いて赤い文字が刻まれていく。


《炎弾:模倣完了》


 これが……《神鏡の眼》の能力……!


だが周囲を見渡しても、誰一人としてその本に気づいてはいない。

エリカも、試験官も、観客も――誰もだ。


 俺にしか……見えてないのか


得体の知れない力に背筋が冷たくなる。

恐怖と興奮が入り混じりながら、俺はただ拳を握りしめた。




==エリカSIDE==


観客席がざわめいた。


「フレイムハートの娘が覚醒したぞ!」

「さすが名門だ!」


歓声が飛び交う中、エリカは呆然と立ち尽くしていた。

小さな炎しか出せなかった自分が、突然“天才”扱いされている。


(違う……あれは、私じゃない。

 でも……誰も……疑ってない……)


強気で通してきた彼女の心に、言いようのない不安が広がる。

誤解を否定すれば「落ちこぼれ」と再び嘲笑される。

肯定すれば「偽りの天才」として期待を背負わされる。


――その狭間で、彼女は声を失っていた。


====


試験が終わり、列に戻ったとき。

隣に立つ俺へ、エリカが小声で囁いた。


「……あんた、今……何をしたの?」


俺は視線を逸らし、努めて平然と答える。

「さぁな。ただ、俺の魔法なんて弱すぎて、君の炎に飲み込まれただけだよ」


「……っ」

彼女は言葉を飲み込んだ。

瞳には疑念の色が浮かんでいたが、それ以上は何も言わなかった。


 頼む……深入りするな。俺は目立たず平凡でいたいんだ……


俺は胸中でそう呟きながら、ただ静かに深呼吸した。

しかし、この小さな会話が――後に彼女との関係を大きく揺るがすきっかけになることを、まだ知らなかった。



試験終了後、大講堂に受験生が集められた。

壇上に立つ教員が名簿を手に取り、朗々と声を響かせる。


「――入学試験の結果を発表する」


会場の緊張が一気に高まった。


「本年の合格者は28名。規定に則り成績上位者よりSからCクラスへ振り分けを行う」


「まず、Sクラス」


「レイジ・ヴァルハルト」

「マユミ・シルバーレイン」

「カズマ・フェルドランス」

「サクラ・エーデルリーフ」

「ハルト・オルディア」

「ユリナ・ダークネスト」

次々と名が読み上げられる。


「エリカ・フレイムハート」


講堂がざわめきで満ちる。

「落ちこぼれが?」「いや、あの大火球を見ただろう!」

本人は困惑しつつも、立ち上がらざるを得なかった。


学園最強の7人――その一角に、エリカは戸惑いながらも加わることになった。


その後もAクラス7名、Bクラス7名が次々と読み上げられたが、当然ながら俺の名前は呼ばれていない。


最後にCクラス。

名前が呼ばれていく中、徐々に不安な気持ちになってきていたところ、

「最後に、ユウマ・イチノセ」


一瞬の静寂の後、「誰だ?」「田舎者か?」と小声が飛び交い、すぐに興味を失われた。

 ……ふぅ、これでとりあえずは一安心……


胸をなで下ろしたのも束の間、教員の言葉が続く。


「学園ではクラス間の能力の偏りを防ぐため、各クラスから一名ずつ選抜し、混合チームを結成する。以後の実習や試験はチーム単位で行う」


一斉にざわめきが広がる。


「Sクラスと組めるのか!?」

「これは……チャンスだ!」


教員が組み合わせを読み上げる中、俺の名前が呼ばれた。


「――Sクラス、エリカ・フレイムハート。

Aクラス、リナ・アクアリス。

Bクラス、ショウ・ストームウィング。

Cクラス……ユウマ・イチノセ」


 ……は?


俺の頭の中は真っ白になった。

平凡でいたいだけなのに、よりによって疑いの目を向けられているエリカのチームに――。


こうして俺の波乱だらけの学園生活が始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ