第18話【1年S クラス】
週に一度の《クラスルーム》。
選ばれた《Sクラス》の新入生が集うその場は、学園の縮図であり、国の未来を担う若き実力者たちが一堂に会する舞台でもあった。
そこに集った生徒たち――誰もが他のクラスなら頂点に立てる実力者だ。
剣聖候補と目されるレイジ・ヴァルハルト。
氷の魔女と呼ばれるマユミ・シルバーレイン。
雷撃を纏うカズマ・フェルドランス。
風を優雅に操るサクラ・エーデルリーフ。
そして光の申し子、ハルト・オルディア。
まさに化け物の集団。誰一人として“凡庸”ではなかった。
その中心に立つのは――漆黒の髪を揺らす少女、ユリナ・ダークネスト。
ただ立っているだけで空気を制圧し、他の実力者たちですら無言の警戒を見せる。
「先日のダンジョン攻略の件……話題になっているようね」
ユリナが挑発的な微笑を浮かべ、声を放つ。
その視線の先にいたのは、紅の瞳を持つ炎の名門――エリカ・フレイムハート。
「“フレイムハート”の名を背負っていながら、随分と情けない戦いをしたって聞いたわ」
ざわめきが広がる。
だが誰一人として割って入ろうとはしない。
――臆しているからではない。
むしろ逆だ。
Sクラスの面々は自分こそが最強であるという揺るぎない自負を持っていた。
だからこそ無駄に力を見せびらかす必要もない。ユリナの力に一目置いてはいるが、それは「得体が知れないから様子を見る」という警戒であって、「勝てない」と思っているわけではない。
むしろ「本気の殺し合いであれば自分が上を行く」と胸を張る者ばかりだった。
「……あれはイレギュラーだったのよ!」
エリカが唇を噛み、紅い瞳でユリナを睨み返す。
「普通のミノタウロスじゃなかった!」
「……ふふ。なるほど、それが理由? ――言い訳ね」
冷笑を浮かべるユリナ。
「仲間に庇われて生き残る。それが“炎の継承者”の在り方?」
その小馬鹿にしたような挑発に、エリカの周囲で炎が揺らめく。
紅の髪を翻し、立ち上がると声を張り上げた。
「だったら……模擬戦で決着をつけてやるわ!」
その瞬間、場の空気が爆ぜるように熱を帯びた。
挑発を受け止め、応じた炎の宣言――火花が散るかのような緊張が教室を支配した。
しかし――他のSクラスの実力者たちはなお動かない。
口元に余裕の笑みを浮かべるだけ。
彼らにとって、この衝突は「自分の出番ではない」という確固たる自信の表れだった。
静寂の後、誰かが小さく笑い、張り詰めた空気がさらに重みを増す。
こうして――翌日の模擬戦が決まった。




