表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/5

豪華なスタートダッシュ特典

 テンションの上がった私たち2人が踏み入れた町は、ゲームの世界みたいな雰囲気が漂っていた。日本では見ることがなかった街並みに、見慣れない服を着ている人たち。酒場とかあったりするのかな?こっちの世界のおいしいものを食べてみたいな。


「やっとつきましたね。この町に関する情報は既に取得していますのでまかせてください」

「あれ?この世界のことは何にも知らないんじゃなかったの?」

「心配しないでください。マスターが眠りこけている間に、データはいれておきましたから」

「お勉強してて偉い!好き!」

「くっつかないでください。まずは冒険者IDを発行しにいきますよ」


 雪姫ちゃんに連れられるがままに入った建物は、町の役場みたいなところだった。そこまで賑わっているというわけではないが、町の人はこの施設を利用しているようだ。受付の人にIDの発行をしに来たことを伝えると、何やら役場全体がざわつき始め、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。


「え…なんかまずいこと言っちゃったのかな」

「いや、こちらで合っているはずです。ほら、担当っぽい方がでてきましたよ」

「こんにちは。冒険者事務担当のエリックです。本当に、冒険者IDの発行ということでよろしいでしょうか…?」

「はい!魔王をやっつけるためにこの世界へ来たので」

「そ、そんな… こんなにも勇敢な方がこんな田舎町にもいるだなんて…!」

「なぜそんなにも疑うのですか?冒険者が珍しいわけでもないはずですが」

「そんなことありません!!このご時世に冒険者を志す若者がいかに貴重なものか!!魔法のおかげで暮らしは楽になったからか、危険を冒して旅をする人は出てこなかったんです!」

「「ええ!?」」


 興奮気味のエリックさんをなだめ、詳しい話を聞いたところ、冒険者が盛んにこの町を訪れていたのは随分と前のことだった。女神が雪姫ちゃんに教えたことが違うのはいいとして、技術が発展した現代では安定した生活をするために、冒険者を志す者たちは減ってしまったようだ。でもこれ大丈夫かな?こんなにざわついてるってことは私たちの噂がすぐ広まりそうだし、広まったところで私の極小魔力では何もできないなぁ。そんなことを考えつつ、手続きに手こずってるエリックさんを2人で眺めていた。


「ねぇ、エリックさん大丈夫かな」

「聞いた感じですと、普段は登録業務がなさそうなので手こずるのも仕方がないかと。よかったですね。最年少冒険者としてチヤホヤされるのでは?」

「それはちょっとアリかも…」

「お待たせしてすみません。こちらが氷夜様の冒険者IDです。そしてこちらがお部屋の鍵になります」

「ん?部屋の鍵??」

「はい。私もまさか新規の冒険者さんが来るとは思っていなかったもので、探すのに苦労しました」

「今から試験のようなものがあるのですか?」

「とんでもない!こちらの鍵は冒険者支援のための宿の鍵です。あまりになり手がいないもので、宿プレゼントキャンペーンなどをやっているのですがね…」

「豪華すぎない!?」


 そこまで深刻化してるんだ。まさかこっちの世界に来てまでこの言葉を聞くことになるとは思わなかったな。聞いた感じ期限とかもないみたいだし、ほぼ家のようなものだね。こんなことをしてまで冒険者を集めなきゃダメなほど、魔王のせいで生活に困っているのかな。宿の場所を聞いたあと、満面の笑みを見せるエリックさんに見守られながら役場を後にした。宿はすぐ近くにあり、部屋の鍵を開けると、ご丁寧に書類がたくさん置いてあった。


「思ったより広いね~!書類読むのはあとでいっか~」

「はぁ。私が目を通しておくので休憩するのならこちらに来てください」

「代わりに読んでくれるのたすかるよ~。フゲェッ」


 ベッドに仰向けになった瞬間に雪姫ちゃんの御御足が私のお腹の上に落ちてきた。


「マスターにだけ休憩されるのはどこか癪なので足置きとして利用させて貰いますね。ご褒美のようなものとして捉えていただいてかまいません」

「置くのはいいけども、急にはやめて~!」

「ふむふむ。どうやら労働組合のようなものがあるそうです。もしもの怪我をした際の手当、道具の補助などがあるかわりに、任務の成功報酬の2割ほどを受け渡すそうですよ。任務の途中で見つけた物はそのまま自分の懐に入れておいても大丈夫らしいです」

「よっぽどしっかりした会社だね~。この世界のこと何も知らないし、入った方がお得だね」

「そうですね。となると、次に向かうべきは… ありました。マスターにどのような役職が向いてるかを調べるためにハローワークに向かいましょう」

「異世界にもハローワークあるんだ…」


 連れられるがままにハローワークへと足を踏み入れる。雪姫ちゃんが言うには、剣士とか魔法使いとかの自分の適性を決めるためにハローワークに行かなくちゃいけないみたい。到着すると案の定冒険者志望ということに驚かれ、適性診断用の紙を渡された。『2択の質問にたった3つ答えるだけ!』と書かれてはいるけれど、そんな簡単に分かるものなのかな。


「えっと…1問目が『私は好き嫌いなくたくさん食べる人である』??こんなこと聞いて何になるんだろう」

「なにか深い意図があるかもしれないです。真面目に答えてくださいね」

「ほんとかなぁ…まぁ嫌いなものもないし、ドカ食いのせいで異世界転生したみたいなもんだし。で、2問目が『自分は習うより慣れろのタイプだと思う』か。そう思うね。体で覚えちゃった方が楽だし」

「だと思いました」

「最後が、『私は拳で語り合うことが好きだ』??物騒だし、いいえかな」

「2番に進めばいいのですね。2番は…魔剣士だそうです」

「はぁ!?私の魔力ってスッカラカンじゃなかったの!?」

「ではただの剣士ですね」

「剣すら持ったことないっての!他の候補は何があったの?」

「えっと、狙撃手・守護者・テイマー・魔術師・武闘家・剣士・()()()がありました」

「まさかの魔剣士重複!?」

「違います。拳で戦う方の魔拳士です」

「というか普通の剣士あるんじゃんか…」


 選ばれたのはまさかの魔剣士。どう考えても間違いとしか思えないけれど、唯一信用できるものがコレの他にはない。どうしよう…魔法はもちろん、剣道すらやったことない私が魔剣士なんてやれるのかな。組合に入ることは決めたから剣は貰えるとして、訓練もなしに旅を始めるのは危険すぎるよ!!


「あの~雪姫ちゃん、剣のお稽古とかってできたりします…?」

「この世界に実体のない私がどう剣を握れと?」

「ですよね~…」

「こんなに冒険者育成に力を入れている町ですから、訓練する場所くらいあるはずです。役場に戻って聞いてみましょう」


 町についたところで行き当たりばったりすぎる予感。まだレベル1の私が魔王を討伐するのはいつになることやら。

私だったら魔術師をやってみたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ