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アン&ドロシー第17章

第一部もいよいよ大詰めです。


 8年後。

 一面に咲くマーガレットが、午後の日差しの中でその輝きを増しいている。

 Y県にある都心部から離れた高級住宅街に、まるで植物園かと見紛うほど広大な敷地の庭と、その中に立つ大豪邸はあった。


 この屋敷の主は二十七歳になったジョーとアンである。

 この八年の間に、二人と二人を取り囲む環境は大きく変わっていた。


 七年前、ジョーとアンは二十歳で結婚し、その後それまで二人の数奇な運命を書いた自伝本「We are clone」を発売すると、それが大反響となり世界的な大ベストセラーとなった。


 本の印税で巨万の富を得ることになった2人は、クローン研究所の施設のあった街を離れ、新たな土地で大きな家を買って施設の狭い部屋にいた時とは比べ物にならないほど、優雅で贅沢な生活を送るようになっていた。


 家のリビングは30坪ほどあり、大きなソファーやアンティーク家具の数々、壁には有名画家の大きな絵画が飾ってある。


 何一つ不自由のない生活を送る二人だが、人生とはそんなに甘くないことをこの日知ることとなる。

 リビングへやってきたジョーは、ソファーにいるアンに声をかける。


「今日は天気もいいし、どこかへ出かけないか。そういえば、アンは以前からレインボーランドに行きたいと言っていたね。 あそこの観覧車に一度乗りたいんだよな。それならどうだ、これから行ってみないか?」


 だが、アンからは返事がない。

 ソファーで横たわるアンは、いつもと様子が違っていた。


「どうしたの? なんか顔色が悪いけど…。」


 ジョーはアンの隣に座ると、心配そうに手を握る。


「さっきから、身体がだるくて重いの…呼吸も苦しいわ。」


 アンは聞こえるかどうかのか細い声だった。


「すぐに病院へ行こう。」


ジョーはスマホですぐに運転手を呼んだ。



読んでくれてありがとうございました。

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