アン&ドロシー 白いワンピースの女 プロローグ
二人の女が主人公のミステリーです。
よろしくお願いします。
第一部
プロローグ
「残念ながら、奥様は現代の医学では治すことのできない死の病にかかっています。」
フジオカの言葉にアンは愕然となって声も出ない。
まだ27歳の彼女は、まさか自分が死の病にかかっているなんて夢にも思っていなかった。
すると、隣にいる夫のジョーは思わず立ち上がる。
「そんな…何とか妻の命を救ってもらえませんか。お金ならいくらかかっても構いません。」
すると、医師のフジオカは少し考えてからこんな話を始める。
「一つだけ救う方法がないわけじゃありませんが…。」
「え、あるんですか?妻の命を救う方法が?」
ジョーは、思わず大きな声を出した。
「それはどんな方法なのですか?」
アンも思わず前のめりになる。
すると、フジオカは勿体つけるように一拍置いてからこう言った。
「それはね、クローンを作るんですよ。」
「クローン!?」
同時に声を挙げてから、ジョーとアンは互いの顔を見合う。
「妻のクローン人間を作ることと、妻の命を救うのと何の関係があるのでしょう?」
ジョーは前のめりになってフジオカ医師に尋ねる。
「クローンの臓器を奥様へ移植するんです。」
「クローンの臓器を…!?」
アンは思わず声を上げる。
「奥さまの病気は、薬で進行を遅らせることができます。この先20年くらいは生きられるでしょう。ですので、今のうちに奥さまのクローンを作っておけば、20年後にはクローンも成長して、臓器を提供できるようになっているでしょうから、移植手術で奥様の命は救われるというわけです。一度に複数の臓器を移植しないといけませんから、移植後の拒絶反応を考えると、同じDNAを持ったクローンの臓器を移植することがベストだといえます。」
「でも、臓器を取られたクローンはどうなるの?」
アンは両手を胸にあてながら聞いた。
「もちろん死ぬことになります。」
「そんな…。」
あっけらかんと言うフジオカとは対照的に、アンは苦しそうに声をもらした。
「ただし、クローンを作ることは法律で禁止されています。やるかやらないはそちら次第ですが、どうされますか?」
フジオカの言葉にジョーとアンは、顔を見合わせる。
「ジェイ、どうしよう?」
アンはジョーを愛称の「ジェイ」で呼んだ。普段、人前では愛称で呼ぶことはないが、よほど動揺しているのだろう。
「お前の命を救う道がそれしかないのだから、やるしかないだろう。」
ジョーの言葉にアンも小さく頷く。
「すぐに私のクローンを作ってください。お願いします。」
アンはそう言ってフジオカに深く頭を下げると、少し遅れてジョーも頭を下げた。
初めて投稿します。
初めてすぎてここに何を書いたらいいかわかりませんが、よろしくお願いします。