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人から神へ

亀次にはもう1人「蛇行」という人格がいる。蛇行が言うには、玄武の一部。朝食を食べる亀次を見て、悟は違和感を感じた。


「あれ? 亀次。ご飯食べるの?」


「そうだが、故に?」


「龍華たちは食べる必要がないって言ってたから、亀次も同じなのかと思って」


『こいつ、元は人間だからな』


「そ、そうなの⁉︎」


「…そう言えば、説明しておらぬな。朝食後、説明する」


「分かったよ」


全て食べ終えてから、リビングに座り、悟と向き合った。そして自分の事を話始めた。


「先程言った通り、我は人間だった。蛇行と1つになり、守護神と成り果たした。現在、この身体は半人半神である」


「半人半神?」


「半分人間、半分神様だよ」


『ひょんなことから俺と出会ったんだ』


「…我の本名は次来(じらい)と言う。とても平和な村で暮らしていたが、産後間もなく両親を失った。父は漁師であり、船が沈没してしまい、母は我を産んで力尽きた。赤子だった我を自分の子供の様に育ててくれたのが村長だった」




数百年ほど前____

村長の息子として育てられた次来は、その恩返しとして町へ働きに出た。働いて稼いだ給料は全て村のために使った。


ある日、いつものように町へ働いていると、身なりの良い男に声を掛けられた。


『お前、何処から来た』


『…町外れの村だ』


『こんな美しいお前が狭い村で暮らしてるなど、もっての外‼︎ 私の屋敷へ来い‼︎ 世話してくれるだけで、多く出そう‼︎』


『…有難い話だが、村の暮らしが好きなのだ。何せ、村には沢山の恩恵を受けたから、今まで生きて来れた。だから、すまぬ』


次来は頭を下げて、立ち去った。そんな次来を見た屋敷の主人はますます次来が気に入った。


『彼を束縛している村を焼き払え。村人たちは全員皆殺しにしろ』


———

——


「…そして、いつものように町へ働きに行って、帰ってきた時、村は火の海になっていた」


「えっ⁉︎ どうして」


「我に惚れた主人が先回りして、村を全焼させたのだろう。村人たちも全員容赦なく殺された」


「ひ、酷い…」


「あぁ。勿論、誰の仕業なのかは分かっていた。我は行き場を無くしてしまい、無理矢理屋敷へ連れて来られた」


「…そ、それからどうなったの?」


「屋敷の主人の相手ばかり。それも、夜の相手だった。当時は知らなかった故、話の相手かと思った。だが、実際は違った。まさか、あんな事になるとは…」


当時の事を思い出し、亀次は身震いした。すかさず雀羅が身体を摩った。


「だ、大丈夫?」


「無論。あの頃は我が無知だったのがよくなかったのだ」


『で、屋敷の生活に耐え切れなくなって、俺と出会ったんだよな‼︎』


「蛇行と1つになれたお陰で奴から逃げる事ができた。改めて礼を申す」


『や、やめろよ… 照れるじゃねーか‼︎』


蛇行の身体が白から赤へ変わる。亀次は蛇行の身体を撫でた。嬉しすぎるあまり、蛇行は亀次に巻き付き、優しい表情で蛇行に微笑んだ。





———とある場所。


『私は必ず次来を取り戻す‼︎ 待っていてくれ‼︎ 次来‼︎』


そう叫ぶ男がいた。

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