次期魔塔主
やっと帰宅した私達に待ち受けていたのは過酷な現実。と言ってもお父様とお母様にとってだけど。
側妃様のお茶会での事件はあの日居た貴族の子息、令嬢達には知られているからだろう。
帰宅後、私の安否を尋ねる手紙やお見舞いの品が沢山届いており、それに対するお礼状を書くことに母と共に追われていた。
父も母も私に付き添ってくれていたのもあり、公務もだいぶ滞っている。
最初は手伝うと言っても、母が大丈夫よと断られていたが、お礼状を私が記入し、母へ下書きを見せると驚いた顔をして、内容を精査したあと、これなら任せられそうと許可をしてくれたため、丁寧に清書し、チェックしてもらいつつも私が記入していくことにした。
忙しそうな両親の手助けを少しでもしたかったからだ。
そうして数日過ごし、やっと落ち着いた頃私の家庭教師による授業が再開されることになったのだった。
「今日はバーバラ先生じゃないのですか?」
久しぶりの家庭教師の授業の再開と聞いて朝から準備に忙しくしていたが、訪れたのはなんと息子の方だった。
そう。次期魔塔主になる予定の先生だ。
なぜか落ち着きなくソワソワしており、部屋に訪れた母が挨拶を済ま部屋から出ていくと、ポケットから沢山の本を取り出した。
どれもこれも魔法に関するものだ。
「これは?」
どう見ても分厚く、基礎では無さそうな魔法書に戸惑いを隠せない。
読みたい、見てみたい。が、今日って魔法学を受ける初日なのよね?
そう思いながら先生を見る。
「この本を読んでわからないところから聞いてくれ」
そういうと、ドンと自分用に古めかしい本を取り出し、読み始めた。それが読みたかったからソワソワしてたってことかしら。
というか言うことはそれだけ?教えるの下手か!
一応初心者であるはずの娘に本を渡して終わりなんてそんな事ある?
仕方なしに一番上の本をめくる。ずいぶん古めかしい本だった。
読み進めていくと、どうやら私がいた時代より後に出た本のようだが、そんなに最近のものではないようだった。
内容は超初心者向けと言ったところだが、わかりやすくおもしろい。昔私が子供たちに自分の体内の魔力を測る方法を教えても、分かりにくい!と言われていたが、この本はそれを万人にわかりやすく訳したような本だった。
魔力を測るのは小さい頃から特に教えられなくても出来ていたが、実は難易度が高いものらしい。
まず指先まで魔力を巡らせる訓練から必要だとのことだ。
ふーん。そう思いながら人差し指まで魔力をめくらせてみる。
慣れてきたら全身を意識して巡らせるのね。ふむふむ。
いつものように足先、手先と巡らせて血液を循環させるように張り巡らせてみる。
これって身体強化の時に使うやり方だわ。
そうして巡らせていると、自分の魔力の流れがつかめるようになる。
まぁ放出し続けるつもりがなければ、体を張り巡らせて自分の魔力の大元に戻したほうが効率的だけど。




