王城4
「もう帰るのか?」
私の池での出来事から約10日間私は王城に滞在していた。
3日間は高熱が出た。
4日目は元気にはなったが、念の為と王城に滞在し、
5日目は側妃様がお見舞いと、汚れたドレスの代わりに新しいドレスを買おうと商人達が訪れ、着せ替え人形の様に色々着替え購入して貰ったあと、ついでにそのままギルと側妃様とお茶をした。
それを聞いた王妃様が翌日アレク兄様と共に訪れ、怖い目にあって不憫だとぬいぐるみや、髪飾り、宝石など様々な商人を呼びつけ買い物をし、そのままお茶会
と昼食会をした。
7日目には王様も私も久しぶりに会いたいと、王妃様、側妃様も含めて、アレク兄様、ロバート殿下、ギルバート殿下と共にお父様、お母様と私で晩餐を共にし、すっかりくたくたになった。
気疲れというやつだ。この頃にはいい加減私もホームシックにかかっていた。
やっと落ち着いたかと思ったら、ギルバート殿下が毎回家庭教師から逃げ出して私の部屋に来るため、家庭教師に泣きつかれ、
何が嫌なのか聞いたうえで、しばらく付き合って共に勉強をして教えていたら、すっかり懐かれてしまい、そのままずるずるとなんやかんやで滞在を延ばされて今まで滞在していたのだが、
熱が下がったのに気疲れから日に日に元気がなくなっていく私と、
早く私を連れて帰りたい父の我慢が限界に達し、とうとう王様に怒りの苦情を入れた事でやっと帰される事になった。
「ギルも勉強頑張ってね。」
帰宅予定当日寂しそうにグズグズ言っているのはギルバート殿下だ。
私と同じ歳の彼は、なかなか対等に遊べる人も居なかったのだろう。はじめの方は私が池に落ちたことに責任を感じていたのか、大人しくしていたものの、長い間一緒に過ごしたせいか、すっかり懐いてしまった。
確かに優秀で落ち着いた兄二人がいて、どうしても皆の目が王妃様の第一子の第一王子と、側妃様の第一子の第二王子の方に皆の注目が集まりやすいこともあり、まだ幼い彼は寂しさを感じることも多かったのだと思う。
私もギルバート殿下と過ごすのはとても楽しかった。
ニコニコと嬉しそうに自分の好きな花の紹介を庭で手を引きながら教えてくれたり、
捕まえた蝶や、虫を沢山見せてくれたり、かくれんぼをしたり。
前世での幼かった頃の息子を思い出して、癒されたのは確かだ。
だから私が自宅に帰ることになり、本当に寂しそうにすがりついてくるギルバート殿下を見ると胸が痛んだ。
「ホントにホントにホントに帰るのか?おいしいケーキだってまだ色々あるんだぞ!」
しょぼんとした顔をしながら聞いてくるギルバート殿下に、後ろで待っているお父様もお母様もさすがに困惑を隠しきれないようだ。
王様と王妃、側妃様共に本日は公務があり、代わりにアレク兄様とロバート殿下、ギルバート殿下が見送りに来てくれた。
アレク兄様はグズグズ言い続けるギルバート殿下を困った顔をしつつも、優しく見守っている。
アレク兄様より後ろにロバート殿下が立っていて、冷めた表情でギルバート殿下を見ていた。
「ギルバート!いい加減にしろ!公爵も、公爵夫人もお待ちだ。わがまま言うなよ!」
ロバート殿下がそう言うと、悲しそうな顔をしながら一歩私から下がった。
「ごめん。気を付けて帰ってね。また会えるよね?」
「うん。また遊ぼうね。」
そう私達は挨拶し、両親がアレク兄様達と挨拶を終えたあと、馬動車に乗り込みやっと自宅へ帰ることが許されたのだった。
10日間とは思えないくらい長かったー!




