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王城

寒い……。

ものすごい寒気と共に目が覚める。気がつけばベットに寝ていた。

熱が上がってきている気がする。節々が痛い。


ふと見ると、パパがベッドサイドに座っているのが見えた。足と腕を組んでウトウトしている。


天井を見るが、ここはどこだろう。きらびやかな天井を見つめながら、ボーとする頭で考える。


私何してたんだっけ?あっ水!水に落ちたんだ。

確か溺れて。良かった助かったんだわ。


と言うことはここは王城なのだろうか?


「パ……パ……?」

声が掠れてあまりでない。が、それでも届いたのだろう。ガバッとパパが飛び起きた。

「ミーナ?」

疲れ切った不安そうな顔で私を覗き込む。

「パ…パ…?ここは王城?」

「ああ。そうだ。」そういいながら私の頭を撫でる。

「くそっ!熱が上がってきているな。」

ベッドサイドのベルをパパが鳴らす。

すぐさま侍女らしき人がノックと共に入ってきた。

「悪いが、エルミーナが目覚めたことを伝えて、医者を呼んでくれ。熱が出てきている。ついでに飲み物も頼む。」

侍女はペコリと頭を下げると部屋をあとにした。

「パパ。今は夜?」

「まだ夕方頃かな。」

「私池に落ちたのよね?」

「ああ。覚えているかい?」

「うん。」

「そうか。何があったかはもう少し体力が回復してから教えてほしい。とりあえず、のどは渇いてないか?お腹はどうだ?」

コンコンコンというノックがあり、パパが返事をすると侍女がタイミングよくワゴンを押して入ってきた。


「医者は今呼びに行っております。先にお飲み物をお持ちしました。水、アイスティー、ミルク、オレンジジュース、リンゴジュースに、温かい紅茶も用意しております。何を飲まれますか?」

淡々と侍女が説明する。



「温かい紅茶がのみたいわ。」

私がそういいながら体を起こそうとするとすぐ様パパが背中を支えてくれる。


「甘い方がいいかい?」

「うん。ミルクと砂糖多めで欲しいわ。」

そういうと侍女がその場で入れお盆に入れ前に差し出してくれた。


「待ってミーナ。」


パパはそう言うと、ワゴンからティースプーンをとり、一口すくって飲む。


「大丈夫そうだな。」

そう言って手渡してくれた。毒見をしたらしい。

そういえば、あのとき誰かが私を押した!

犯人は捕まったのだろうか。

私が顔を上げた頃には誰もいなかった。

もしかして私って命を狙われてる?

そんな事を考えながらパパを見つめる。私の視線に気がついたのか優しく微笑むと頭をゆっくりと撫でた。


ココンココンコン

せっかちに誰かがノックする音が聞こえ、一気にパパの警戒が増す。

「こらっダメだよ落ち着いて。」

「だって。」

アレク兄様の声と、ギルバート殿下の声だ。

侍女がドアを開くとギルバート殿下が駆け寄ってきた。泣いていたのか目の周りが真っ赤だ。

パパがギルバート殿下を手で制する。それには文句も言わず私に声をかけてきた。

「エルミーナ大丈夫だったのか?寒くないか?」

本気で心配してくれていたのだろう。

さすがにパパもそれがわかったのか、手をすっと外した。


「医者も連れてきたから!」

そう言って離れた位置で待機していた先生を無理矢理引っ張り私の近くに近づける。

困ったような顔をしながらその後ろにアレク兄さまが立っていた。


「先に診察をしてもらおう。悪いが殿下たちは一旦外に出てほしい。変わりに侍女がそばについてくれるか?私は壁際に立っておくよ。」

パパがそう言うと素直に殿下とその護衛たちは廊下へでる。パパは警戒しているようで、私から離れようとしなかった。


確かに、短い期間で2回も娘が死にかけたのだ。父親の胸中を思うと苦しくなる。

どれだけ心配しただろうか。


「沢山水も飲んだようなので、しばらく安静が必要ですね。今夜は熱が出ると思います。念の為解熱剤を置いておきます。辛いようでしたら早めに飲ませてください。食事は消化に良いあまり冷たくないもので。池の水なので、お腹も壊すかもしれません。」


診察後医者がそう説明し、父が少し安心した表情を見せた。

「しばらくはここに泊まることになりそうだな。王城にいる間は私がエルミーナの護衛をするよ。」


家の時のパパと違って落ち着いている。それは静かな怒りを抑えているようにも見えた。

医者が部屋を出ると入れ替わりにギルバート殿下とアレク兄様が入ってきた。


「熱が出ているんだってね。顔も見れたし、僕達はこれで失礼するよ。しっかり休んでほしい。」アレク兄様が、そういいギルバート殿下の、肩をたたく。

「俺。俺のせいだごめん。」

大きな綺麗な目に涙を溜め込みながら、ギルバート殿下が謝ってきて驚いた。

「俺があの時離れなかったら。一緒に鍵を取りに行っていたら。いや。パーティーを抜け出せなかったら、こんな事にはならなかった。ごめんなさい。」

真摯に謝る姿に怒る気にもならない。それはパパも同じだったようだ。困ったような顔をしながら私達を見ていた。

「ギルバート殿下のせいではないですよ。」

そう言って微笑む。

「ギル」

「え?」

「ギルでいい。」

「え?ギル殿下?」

「違う!ギ、ル」

「え?さすがに。」

「ギ、ル!」

プハッとアレク兄様が後ろで吹き出すのが見えた。

「ごめん。エルミーナ。ギル!さぁ部屋を出よう。お前の呼び名については元気になってからエルミーナと話そうね。また明日来ます。ランカスター公爵。では僕達はこの辺で失礼します。」

そう言うと二人は部屋を出ていった。

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