側妃様のパーティー4
結局すっかり油断して、三人で話に花を咲かせていると、周りのざわめきが急に静かになった。
思わず振り返ると思ったより近くにロバート殿下とギルバート殿下がいる。やっぱりきたか。そうなるよね。胡散臭い笑顔を浮かべたロバート殿下が、さも今こちらに気が付きましたと言わんばかりにやってきた。
挨拶しないわけにも行かないのでロバート殿下の方へ体を向ける。
そういえば、ロバート殿下はともかく、ギルバード殿下とまともに会うのは初めてかもしれない。
といっても、お互いまだ5.6歳程度だし忘れているだけの可能性もあるが。顔を知っている程度に交流はしてるはずだし。
マリエラを見ると殿下が近づいてきていることに気がついたようで、ガチガチに緊張しているようだ。
目であたりを見渡すと、ユリアーノは少し離れたところに立っていた。
話を中断されてギルバート殿下のみ連れて行かれたのか、不機嫌そうだ。
そんな事を考えてるとロバート殿下の声がした。
「エルミーナ!元気にしてた?久しぶりだね。」
ロバート殿下が親しげに話しかけてきた。
「ご無沙汰しております。ロバート殿下」
そう答えると、ピクリとロバート殿下の眉毛が動く
「寂しいなぁ。昔はアレク兄さんだけじゃなく、僕のことだってバト兄様って呼んでいたのに。」
パッと頬が少し赤くなる。エルミーナの中のちょっと恥ずかしい記憶らしい。
ロバートが言いづらく、バート兄様と呼ぶ時にうっかり呼ぶ様になったのだ。
ふとロバート殿下から少し離れた後ろにたつ不機嫌そうなギルバート殿下が目に入る。
私の視線に気がついたロバート殿下が冷たい目でギルバート殿下を一瞥し
「ギルバート!君は直接話すのは初めてだろう?僕達のはとこになるエルミーナだ。母上からも聞いたことがあるよね?」
そう声をかけるとチラッとこちらをみたギルバート殿下と目が合った。
「お初にお目にかかります。ギルバート殿下。」
5歳らしく心得ながら、にこりと挨拶をすると、目をまん丸に見開いたギルバートがこちらを見ていた。
「おっお前がエルミーナ?赤熊の勇者の娘?」
「えっと。エルミーナ・ランカスターと申します。赤熊の勇者はよくわかりませんわ。」
「ふーん。父上と赤熊の勇者が従兄弟だとこの前会ったぞ!知らないのか?お前の父親だろ?似て無くてよかったな!」
よくも悪くも子供らしいストレートな言葉にふふふと微笑む。
「ランカスター公爵は強くて素晴らしいひとだよ。ギルバート。」
少し冷めた顔をしながらロバート殿下が口を挟む。
しまった。という顔をしながらチラチラとギルバート殿下が私を見る。首を振り、ニコリと微笑んで気にしていません。とアピールすると、パァアと笑顔になった。
どうやらギルバート殿下は裏表のないタイプらしく、子供らしい。表情の変化が可愛らしく、心の中で一人おばさまが癒されていた。
ロバート殿下は腹黒タイプだし。
「それでエルミーナ。後ろの令嬢達も紹介してくれないかい?」
ニッコリとロバート殿下が微笑む。数名の女子達からキャーと黄色い声が上がった。
「あっ。こちらはマリエラ・カルロス伯爵令嬢と、アンジェラ・グーデンパーク伯爵令嬢ですわ。」
私が簡潔に紹介すると、2人はそれぞれカテーシーをして挨拶する。
「3人は仲が良さそうだね。今度アカデミーに通う子達だね。ギルバート!君の同級生になる子達だよ。」
そうギルバート殿下に紹介する。ニコリとギルバート殿下も微笑み挨拶を交わしていた。
ギルバート殿下を交流させつつ、ロバート殿下の交流を広めて行く目的なのかしら。
以前からロバート殿下の相手として私の名を側妃様が挙げていたと聞いていたので、警戒していたが、思いの外和やかにパーティの時間は過ぎていった。
「エルミーナ!こっちもおいしいぞ!」
しかし、気がつけばすっかりギルバートに振り回されている。
ロバート殿下はマリエラ、アンジェラ含め多数の令嬢と談笑中だ、
私はギルバート殿下に手を引かれながら、いろんなシ種類のケーキを食べ歩いていて、すっかりお腹パンパンだ。
「エルミーナは母様の庭園に行ったことはあるのか?」
母様の庭園??側妃様の庭園のことかしら?
「いいえ。入ったことないと思います。」
「あそこには勇者たちの像があるんだ!かっこいいんだぞ!」
「そうなのですか?」
「よし!今から見せてやるよ。」
そういうとギルバート殿下は強引に私の手を引きながらキョロキョロと人目を気にしつつ、パーティーを抜け出した。




