退屈でした
「だっだれだ!」
護衛の一人が剣を構え前に出る もう一人は私の前に立ち、メイドが私を庇うようにしながら周りの様子を伺う。逃げ道を探しているようだ
後ろはガラ空きで、敵は一人だ走って逃げたほうが早そうだけど
相手から一切の敵意を感じないため、慌てることなくじっと相手を見る
なるほど。そこそこできそうなタイプだ
魔力が多い。今の私では勝てないな
体をも小さいし、まだ魔力も発展途上だ
「答えろ!ここをどこだと思っているのだ!」
ローブの男はめんどくさそうにポリポリと頬をかく
ローブの胸元をみる
「あっ」
慌ててフード部分で隠れていた部分をめくり、金色のバッジを見せてきた
「あっ!それは!魔塔の?」
一人の護衛騎士がそう答える
「あっあの魔塔の方がなぜここに?」
警戒を緩めることなく質問する
「ん」
護衛騎士にイケメンがなにやら紙を渡していた
おいおい口出答えなさいよ〜なんて心の中で呟いた
全く今も昔も魔塔の者達はホントにコミュニケーション能力が欠如している
人と会話せずに研究に没頭している人も多いため、いざ人と会話しなければならない状態に追い込まれた時、何を話して良いのか分からないらしい
「あっ、あのお嬢様。こちらバーバラ夫人からの紹介状のようです」
護衛機士の一人が私に紹介状を渡してきた
「お読みしましょうか?」
「いいえ大丈夫です」
さっと目を通すと、紹介状ともう一枚は謝罪文だ
どうやらこの方はバーバラ夫人の息子さんらしい
息子さんの行動を先読みした夫人からの私に対する謝罪の手紙だ
「剣をしまってちょうだい。バーバラ夫人の息子さんよ」
「はじめまして。わたくし、エルミーナ、ランカスターと申します。とりあえずわたくしのお母様を呼びますので、客間にご案内します」
「俺はルドルフだ。いや。まだ受けるか決めていないが、一応あんたを見に来た」
なるほど。確認しに来たってことか。しかし見るって言われてもこちらは何をしたらよいのが?
魔塔からってことは、魔力とか?
そんな事をしていると、ゴソゴソとマジックバッグになっているのか、ローブのポケットから何冊か本を取りだす
「どれだっけ?あんたに見せてテストしたいんだけど。あっこれ持ってて」
そういいながら古びた本を2冊渡される
「おっお嬢様!お持ちします!」
慌てて護衛騎士が私から取ろうと近づく
「待った!手はきれい?それ大事なものだからね?大切に扱ってくれよ?」
ゴソゴソとまだ何かを探しながら、護衛騎士に厳しい声で伝える
渡された2冊の本は懐かしい昔の革の本だ
昔の古い文字で書かれている
「五大魔法の基本と、こっちは基本魔法の組み合わせと魔石への魔力の込め方の本かぁ」
懐かしい。当時は貴重だった本で、どちらも図書館へ通い、何度も読んだし書き写したものだ。一冊は私も魔法をはじめてしばらくしてからお金を貯めて買った本だ
ふと視線を感じ顔を上げる
動きを止め目を輝かせながらルドルフが私を見ていた
「おっお前その文字が読めるのか?」
「えっ?」
「その文字だよ!」
へ??古文書などでよく見かける文字だったので覚えているし、よく読んでいたが??
あっ!しまった!100年以上前の自分の記憶の中ではまだ馴染みのあるものでも、100年も経てば当時古かったものならもっと昔のものになるのか!
「あっあはは」
なんのごまかしも思いつかず、笑ってごまかす
周りの護衛騎士たちまで驚いた顔をしている
あ~やってしまった
そう思っていると、さらに目をキラキラと輝かせながら、ルドルフが片膝をついて胸に手を当てながら最上級の礼をとり、こういった
「エルミーナ様!わたくしにぜひともエルミーナ様の魔法学の指導をさせてください。そして、そのかわりにこの古代文字を少しでもいいので解読してくださりませんでしょうか?」




