予言の書
「予言の書なんて聞いたことないわ。それ本物なの?」
マリエラ嬢にそう伝えると少し怒ったような顔をして言った
「本物に決まってるでしょ?ちゃんと100年前の聖女様が書いたものなのよ?バカにしないで!お父さまは聖女関連の物を集める収集家なの!予言の書も100年前の聖女が書いたものをオークションで落としたのよ!」
100年前の聖女……
ふと黒髪の小さな女の子の事を思い出した。100年前の聖女といえばあの子だろう
向こうで事故にあって起きたらこちらの世界にいたとかで、
優しくおっとりした性格をしていた
人の生死について記載したり、予言の書書を作るような子ではない。どうしても本物には思えなかった。
それに、100年後のエルミーナの事故のことをわざわざ書くだろうか?
もし私がなにかあって転生するのを知っていたり、エルミーナになる事を知っていたら、まずは私に知らせるだろう
亡くなった後に知った?そうだとしても、予言の書なんかに残すだろうか。せいぜい手紙じゃないかしら
「それに、そもそもそんな大切なもの本当にあなたが読めたの??」
同じ歳くらいの子に見えるし、思わず聞いてしまう
「なんですって?しっしつれいね!」
少し大きめの声になり、慌てて辺りを見渡す
周りはコソコソ話し込んでいる私たちに遠慮しているのか、遠目でチラチラこちらを見ている
お兄様達は…っと
しまった!スリーアニーズ(3兄)が話すのをやめてじっとりとした目でこちらを見ている
争っていると思ったらすぐに飛んできそうだ
「ちょっとあなた落ち着きなさい。兄達に目をつけられてしまうわ」
私がそう言うと、ボンッ!という効果音がつきそうなくらい真っ赤になった彼女がばっ!と振り返り兄達の方へ目を向ける
こちらを見ている兄達と目があったのか、オロオロした様子でいった
「ほっほんとよ!聖女様は元々異世界の人だから普段は異なる文字で書物を書いていたんだけど、こちらの文字の練習もしてて、その予言の書は私達が読めるくらいの簡単な文字で書かれてあるの。ちゃんと所々に異世界の数字らしきものがページの下に書かれてるし」
「なるほどね。それで私が死ぬ事以外どんな事が?」
そう問うと一歩近づき声を潜めていった
「あのね。男爵令嬢に異世界の魂が転生するの。その子が世界を救うんだけどね、それまでに色々あって…」
あっ
なるほど。そういうことか〜聖女の予言書とは
きっと…。
「その中にうちのお兄様に似た人が出ていて、恋とかしたりする?それでその子を取り合ったり」
多分絶対そうだ
「えっ!なんでわかるの??」
あ~可哀想な聖女様。きっとあの子の書きかけの物語だわ。
そしてこの子はどうやらうちのエド兄様が好きなのね!
聖女様が以前、異世界の自分の好きだった作品を広めたいとそのまま覚えている限り記憶を振り絞って書いてはいたことがある
おおまかなストーリーと結末は覚えていたけど、
細かい描写などは覚えておらず、自分で書くには難しい上、途中途中の出来事が曖昧になっていて、物語として面白くない!と結局考えるのをやめたと聞いた
用紙もなく、本も貴重だったけど、ノートをロイが多量に買ってきてプレゼントしてくれたから、頑張って最後まで描いたのだっけ?広めなかったけど
結局恥ずかしがって見せてもらえなかったから見てみたいとは思っていたけど
「私も見てみたいわ!」
私がそう言うと
「だっ!ダメよ!持ち出せないもの」
しょんぼりした顔でマリエラ嬢が答える。幼さの残る頬がたまらずかわいい
「家に招待してくれたら良いじゃない」
そう言うと、
「えっ?うちに招待したら来てくれるの?」
キラキラとした可愛らしい目を向ける感情が顔に出やすい素直な子だ
「見てみたいもの」
私がそう返すとさらに嬉しそうにしながら、ニコニコしていった
「ぜったい!呼ぶわ!あっでも大人には言わないで?じつはこっそり私の部屋に持って行って隠してあるの。バレたら怒られるから」
「もちろんよ!」
フフフとお互い笑い合う
「それで、はじめにあなたが私に言っていたこと……」
マリエラ嬢に最初言っていた私が事故にあった事を聞こうとした時、兄達の席の方で誰かが声を荒げるのが聞こえた




