精霊の気まぐれの謎3
エルミーナが怖がらないような配慮なのだろうか
優しく語りかけるように殿下は話す
「恥ずかしながら私はエルミーナより長い時間気を失っていたから、エルミーナが目覚めてからのことを知らないだろう?あの時少しだけ話はしたけど、エルミーナが覚えていることを教えて欲しいんだ」
「私が目覚めたときのこと?」
思い出そうと首を傾げる。私が目覚めた時…目覚めて頭が痛くて、子供になっているのを驚いて、ヒールをして…。おっとどれも言えない
私が無言になっていると、殿下が思い出したかのように言った
「そういえば、あの時エルミーナは記憶をなくしているように見えたけど、それは戻ったようだね」
その一言に両親とジョンが息を呑むのがわかった
「ミッミーナ記憶って」
震える声でお母様が尋ねる
これどうしようかしらものすごい大事になりそうな予感がする
もちろん王子暗殺未遂と言うのは大事件なのだけど、エルミーナに対する溺愛ぶりから考えて記憶の事を話したら大変なことになりますよ!アレク兄様!
何してくれてるんだ
頭をフル回転させてこの場をどう乗り切るか考える
記憶はほとんど統合されて取り戻しているし、問題ないはずだ
「あっあの。私何も忘れてません…でも、えっと事故のときの記憶のほうかあまり覚えていなくて。怖くて」
しどろもどろになりながらそう答える
「怖かっだろうなぁ?ミーナ!お父様がいるからもう安心だぞ!」
今にもこちらの席に来て抱きかかえそうなお父様の肩をお母様が抑えながら言った
「殿下まだミーナは小さいですし、やはりお役に立てそうに無いですわね。事故にあってすぐは記憶も混乱したのでしょう」
お母様の言葉に殿下は頷いた
「そうですね。その可能性は高いです。やはり神殿の者達にはエルミーナが何も知らなかったことを僕から伝えておきます」
「神殿?」思わずつぶやく
「そう。彼らは聖魔法に関して目がなくてね。僕達の傷を治したものは聖女なんじゃないかって言ってね。近くに人がいなかったこともあって、それならエルミーナが聖女なんじゃないかなんて言うんだ」
ええ〜!違います!
目を見開いてアレク兄様を見た後、お父様お母様を見る
「お父様にとってはミーナは天使だよ」
デレデレとした顔でお父様が言う
はじめの方のキリリとした父はどこに行ったのだ
すっかりミーナ呼びになってしまっている
そういえば、お父さまと王様はいとこ同士だったか
だからって気が緩みすぎだ
「エルミーナは魔法を使ったことは?」
殿下が質問する
「来月の誕生日を迎えたらエルミーナも5歳になりますので、その後から家庭教師には、来ていただこうと思っておりました。本人は自分の杖も持っていませんし、まだ魔法について教わったこともありません。そんな子が殿下やジョン達の傷を治すことは難しいかと」
私の代わりにお母様が答える
しばらく思案した後殿下が言った
「やはり精霊の可能性が高いのかもしれませんね。精霊が気に入った子供の手助けをする話は聞いたことがあります。ミーナが私やジョンを心配してくれていたから手助けしてくれたという可能性の方が強そうですね」
そして私を見つめる
「エルミーナ。もしなにか周りで変わったことが起こったら僕に伝えてくれるかな?」
変わったこと?ヒール以外の事で良ければ
「はいお伝えします」
そう言ってにっこり微笑む
「しかし殿下あの神殿の者が諦めますでしょうか?調べたがるのでは?」
お母様が心配そうに呟いた
「そんな事俺がさせるか!ミーナはお父様が守るからな!」
聖女だ何だ大袈裟な…そんな事を考えているとボソリとジョンが言った
「聖女かどうか調べたいと言うのは、最近魔物が活発化していることと関係しているのでしょうか」
一瞬沈黙が落ちる
それってまさか…
「神殿はその可能性を視野に入れてるんだ。魔物が活性化して聖女が現れたら復活が近い合図みたいなものだからね」
殿下はなにとは言わなかったが、私を含めみんなが想像したのは一つのことだろう
魔王の復活
「だが、正直まだ早すぎるんだ。魔王は聖女の封印の力が切れて、瘴気がたまり始めた頃に復活するとある。だが、前回の聖女様は自分が亡くなるギリギリまで各地を回って聖力を注いでくれていたし、聖力のこめられた魔石もたくさん残してくださっていたとある、後100年は安泰だと言われているんだ」
「神殿の奴らが考えすぎなんでしょう。なんだかんだ理由をつけて精霊に治してもらった傷を調査したいのではないか?ミーナに少しでも触れたら神殿を潰してやる!」
お父様が握りこぶしを突き出すようにそう言った




