ヒール
しばらく現実逃避したあと、まずは自分の置かれている状況を確認しなければと、周りをもう一度見渡した
「とりあえず‥ここ‥どこ?」
私が座っているのは森の中らしいが、なぜここにいるのだろう
私子供になってるの?よね?なにかの魔法?
でも、そんな魔法聞いたことないし‥‥
上を向くと枝の折れた木が見える。折れた木の破片が私のいる辺りに散らばっていた
ひょっとして上から落ちたのだろうか
近くの木の上にも、人?が見える
良く見ようとして、うっかり頭の傷らしいものに触れてしまった
「きゃっ!いったーい!」
血は止まっているらしく、傷も深くは無さそうだがズキズキ痛む
手には小さな細かい切り傷があり足にも切り傷が見える
木の枝で傷ついたような怪我だ
足を見ていて思ったが、足が短い気がする
「うそ!なにこれ?」
もしかしたら私は幼児くらいかもしれない
短い足の先には丸いリボンのついた品のいい黒いシューズを履いている
着ている服もところどころ裂いたように破れているが、貴族の子供が着るであろう高級なものだ
しかも、そこそこ高位貴族と見た
私達も色々な功績から子爵であったし、裕福でもあったほうだけど、
今着ているものは、明らかに触り心地の違う生地を使ったワンピースだ
簡素な作りではあるが、子供のお出かけ用のようだ
服に垂れている髪は銀色。前世の私は赤茶色だった
明らかに違う色‥‥
私ではない?まさか‥生まれ変わった?それとも憑依した?
痛いってことは夢ではないよね?
冷静に分析していたつもりではあったが、聞いたことない状況に頭の中はパニックだ
「あっ!」
一つ大切な情報を忘れていたことに気がつく
木の上に引っ掛っている人
よく見ると見た目からして男の子?少年みたいだ
大変!
子供をこのまま放置するわけにはいかない
とりあえず、近くに行こうと立ち上がり、体の痛みに思わずふらりとふらついた
「ヒール」
うっかり癖で自然に回復をかけた後、ハッと気が付いた!
そういえば今の自分はなぜだか子供だった!魔力は大丈夫なのだろうか?ドキッとしたものの体の怠さなどはない。
うっかりしてた。全然気にしてなかったよ。
その場で目を閉じて、体の中の魔力を感じようと探って見る。
ヒールを使用してすぐに倒れなかったから、魔力はありそう!でも、魔力切れでこんな森の中で意識を失えば命取りだ
魔力の壺を体の中にイメージし、容量を探る
壺の大きさで大体の自分の魔力量と残量を確認するのだ
アーサーは、「魔力の壺ってなんだよわかりにくい」といつも言っていたな
とふとそんなこと思い、少しばかり胸が痛む
「アーサーは達は大丈夫だったのかな?」
私が亡くなったあと、元気で暮らしたのだろうか?
ふと、そんな事を考え、思わず頭を振る
今はそれどころではない 集中すると壺の形と大きさが見えた
この体はなかなかの魔力持ちらしい
そして、ヒールで使った魔力は2割程度のようだ
子供の体だし上等だ
「なんとか人の居るところまで出るまで、多少は魔法も使えそうね」
そう呟いてゆっくりと目を開けた




