命知らず
「はい」
直子は背筋を伸ばし亮の方を向いた。
「どこか場所を借りて研究をして」
「本当、私もやりたかったの」
「良かったね。直子ちゃん」
後ろから智子が声をかけた。
「ところで森さんと早苗さんは?」
「後から二人でNSXでドライブです」
明日香が亮に聞くと亮は笑って答えた。
3時間ちょっとで亮たちが東京に着くと
葉子が騒ぎ出した。
「お腹空いた」
「みんな何食べますか?」
「焼肉~」
亮が聞くと葉子が手を上げて声を上げた。
「はいはい」
亮は銀遊亭に寄った。
「ここ、亮さんの店なの?」
明日香が聞くと亮は戸惑った様子で答えた。
「いや、父の会社の店です」
「はい、そうなの。亮さんてお金持ちなんだね」
明日香は高い車に乗っている亮の事を直子に聞いた。
「そうみたい、私はどうでもいいけどね。明日香ちゃんは?」
「私も、どうでもいいわ好きだから」
焼き肉が用意されると葉子の音頭で乾杯をした。
「かんぱーい」
「亮は飲んじゃだめよ、運転手するんだから」
直子が睨むように言うと亮は素直に返事をした。
「はい」
「明日香ちゃん、レースクイーン辞めちゃうんだ」
智子はレースクイーンたちの噂話を聞いて明日香に言った。
「そうよ。亮の知り合いの会社で働くの、
智子さんにレースクイーンの仕事紹介しましょうか?」
「いいわ、カメラマンに年齢を聞かれて止まっちゃった」
「そうか・・・」
明日香は改めてレースクイーンの年齢の限度を知った。
「今回は痛い思いをさせてすみません」
亮は直子に頭を下げた。
「気にしないで、結構気持ち良かったし」
「映像を見ました、あんな事をされていたんですね」
「うん、興奮した?」
「はい、どきどきしました」
「うふふ」
「そうだ、お風呂場で見た亮の
あそこすごく大きかったんだけど」
「えっ!」
葉子が言うと全員の目が亮の股間に向いた。
「まあ、素敵!」
「でも、男性の物があまり長いと
子宮を痛めるらしいわ。子宮ガンになっちゃうかも」
直子が葉子を脅かした。
「みんな、勝手に言っているけどそんなに自由に大きさを
変えられませんよ。そもそも勃起とは精神的、
肉体的刺激を受けNOと言う成分が分泌され
細胞内の環状グアノシンーリン酸
(Cyclic guano sine monophosphate、camps)
GMPを増やします。このcampsが増えると海綿体平滑筋が緩み、
血液が流入し陰茎海綿体の白膜が引き伸ばされ
静脈が閉塞します。要するにあそこに血液が多く
流れてしっかり栓がされれば堅くて太くなるんです」
「はいっ?複雑でよく分からない」
葉子が言うと智子が亮を潤んだ目で見た。
「へー、筋トレすれば大きくなるわけじゃないんだ。
それが今の亮なのね」
葉子は納得した。
「はい成長したようです。あはは」
亮は自分が変わった様な気がした。
「もし、この漢方薬をうちの会社で
売れば大ヒット間違いなしよ。
海外では大きくする健康食品を売っているみたいだけど、
本当に効くなんて・・・」
製薬会社で売る事は出来ない、そう思って智子が笑っていた。
「だって最近日本の女性は背が高くなり足が長くなって
子宮の位置が深くなったのに、日本男性の大きさは
変わっていないんでしょう。大きくなって正解」
葉子がうれしそうに言った。
「そうか、浮世絵は実在の人物。夢が有っていいわね。
亮見せてよ」
智子が亮のパンツを降ろそうとして手を伸ばした。
~~~~~~
「亮、会えるか?」
翌日早朝に仁から連絡があり渋谷のマンションに来た
「おはようございます」
「朝早くからすまない。しかし良い部屋に住んでいるな」
「あはは、お陰様で稼いでいるので」
「まったく、お前は商売がうまい」
「兄さんも結構稼いでいるんでしょう」
「まあな」
御神は秀樹が管理していた両親の遺産を受け取り
亮が調べたところによるとCIAが年収1500万円前後
電広堂が1000万円+インセンティブ
ダブルインカムはうらやましい話だ。
亮はコーヒーを仁の前に出した。
「それで?」
「まったく、お前は命知らずだよな」
「何がですか?」
「田中議員とヘンケルだよ」
「ああ、知っていたんですね」
「うん、うちもヘンケルを調べていた。
恐らく本社の方でも逮捕者が出るかもしれない
本国の株価にも影響するからな。お前が仕掛け人だと
ばれたら必ず命を狙われる」
「そ、そうですか・・・気を付けます。
それで僕はどうすれば?」
「とりあえず、守秘義務はあるだろうが
日本の方の捜査状況を教えてくれ」
「わかりました」
亮は簡単に捜査状況と実情を伝えた。
「なるほど。しかし、
お前はあっという間に警察トップと関係を
作ってしまうのでたいしたものだ」
「そうでもないですよ。
僕と警察の関係を調べてしまう方が凄いですよ」
「あはは、とにかくあまり危険な事はするなよ」
「はい」
仁が帰ると亮は友子に電話をした。
「おはようございます、友子さん」
「おはよう。何かあるといけないから
家を出て駅へ向って歩いています」
いつもより早く家を出る行動に
友子真面目さが現れていた。
「はい、すぐこっちを出ますから
8時に日本橋の三越前で」
「了解です」
亮は電話を切ると美也子に確認を取った。
「美也子さん日本橋三越前です」
~~~~~
三越前の前の喫茶店で友子と亮と美也子と会いヘンケルの
株数、金額、口座申込書を友子に渡し経緯を話した。
「完全なインサイダーですね」
友子ははっきりと言った。
「そうですね」
亮が言うと友子はヘンケルの情報を説明した。
「元々ヘンケル製薬の株価は6,000円前後だったんですけど、
去年の副作用死亡事故で株が暴落したんですよ」
「はい、憶えています」
美也子は二人の話を聞いてうなずくと亮が友子に聞いた。
「もしこれが失敗するとヘンケル製薬は?」
「終わりですね、おそらく1,000円台に落ちると思います。
ところで、その株を田中代議士に譲渡するとなると、
信用買いはできません」
友子ははっきりと答えた。
「そうですか。では後1億円を追加して
2億円にすればいいんですね」
亮が友子に確認した。
「2億円なら大丈夫です。
私は9時10分前からコンピューターの
前にいて9時ジャストに10万株の買い注文を
いれます。金曜日の終値が1,999円だったので
今日10時までに2億円を振り込んでもらえれば、
譲渡する5万株と1億円の3倍の
15万株は信用買いが出来ます」
「わかりました、今振り込みます」
亮はスマートフォンで自分の預金口座から
証券会社の口座に2億円を振り込んだ。
「午後に市場の反応を見て株の買いをいれる人がいますから、
今日だけで100円以上は上がると思います。
そこで、新薬の発表の噂が立ちますから
明日の朝一で買い注文が入リます、で
も急激に株価が上がると売り手が出ないでしょうから、
金曜日まではあがりっぱなしのはずです」
「友子さん、来週の月曜日の午前中にヘンケル株を
15万株を売ってDUN製薬の株に買い換えてください。
それと友子さんのお持ちのDUN製薬の株を買い戻しますがどうしますか?」
亮はDUN製薬の株が必ず上がると確信して友子からDUN製薬の株を
買い取る提案をした。
「はい」
友子はあまり乗り気ではなかった。
「では、DUN製薬の株を担保という事で
400万円をお渡ししますから、
友子さんもヘンケル製薬の株を買ったら如何ですか?」
「本当ですか?」
「はい」
亮は400万円を入れた封筒をバッグ
から取り出し友子に渡した。
「それでは友子さんよろしくお願いします」
「はい、任せてください」
「でも私のインサイダーの罪は」
美也子が友子に心配して聞くと友子は答えた。
「田中代議士は当事者でインサイダーに引っかかりますが
美也子さんは依頼を受けていますので立証は難しいですね
しかも田中代議士は株価が落ちて利益を得なかったら
罪にはなりませんよね」
「うふふ」
美也子はすべてうまく行きそうな予感で思わず微笑んだ
9時15分に友子から亮に電話があった。
「20万株を1998円で買いました。
社内に新薬発表の噂を立てましたので、
今日明日で1000円は上がるわ。
私の分は2000株買わせていただきました」
「では、計画通りにお願いします」
「はい、任せてください」
「美也子さん20万株買えたそうです、
田中議員に連絡してください」
「はい」
美也子は田中に電話を入れた。
「美也子です。今ヘンケル株
5万株買いました。一株1998円です」
「ありがとう。ありがとう。
今日から株式市場を見るのが楽しみだな」
そこへ秀樹の秘書の中村から亮に電話があった。
「ヘンケル株20万株買いました」
「ありがとうございます、中村さん」
亮が礼を言っていると美也子が聞いた。
「どうしたの亮?」
「保険をかけておいて親父の方で
ヘンケル株20万株買ったんですよ」
「そうなると予定より株価が上がってしまうわね」
「そうですね。それが狙いなんです。儲かりますよ」
亮は森へ連絡を入れた。
「森さん、松田さんはどうなりましたか?」
「ああ、きっちり警察が守ってくれているよ」
「ところで、小川所長の方は?」
「新宿のホテルに隠れている、
後はDUN製薬で窃盗の被害届を出せばいいそうだ」
「わかりました。いよいよですね」
「ああ」
亮はそのまま会社に出勤すると智子に声を掛けた。
「大原さん、役員室へ行きます」
「誰に会うの?」
「父です」
エレベーターで上に上がると
中村がドアの前で待っていた。
中村に案内され役員室へ入ると、
すらっとして日焼けした男性が座っていた。
「よっ亮、おつかれさま色々聞いているよ。
理恵子ママ、順子ママ、ジュディにもな」




