インサイダー
「私も後ほどレースを観戦行きます」
美也子は丁寧におじぎをした。
「おはようございます」
美也子とすれ違いに直子が田中に挨拶をした。
「あっおはよう。良かった。
君の連絡先聞くのを忘れてね。
ところで今日の予定は?」
「レース観戦です」
「どうだ、一緒に来ないか?」
「はあ」
直子が曖昧な返事をすると
田中が突然直子の手を握った。
「アルバイト料は払うよ」
田中が直子を必死に誘っていると
美也子は直子にウインクをして
美也子の姿が見えなくなると直子が答えた。
「ご一緒させていただきます」
「助かるよ。看護師さんなら一緒にいても平気だからな」
田中は秘書の中山の手前大きな声で看護師と言った
部屋に戻った美也子は亮とハイタッチした。
「亮、直子ちゃんは田中と一緒よ」
「うまくいきましたね」
亮は美也子の手を握って笑った。
~~~~~
SUGOに着いた亮たちは練習走行を見ていた。
「わー、すごーい。はやーい」
葉子とめぐみがはしゃいでいた。
「デカパイコンビ気が合うみたいですね」
亮が二人を見て美也子につぶやいた。
そこに葉子とめぐみを見つけた手塚が声をかけてきた
「おーい葉子ちゃん、めぐみちゃん。
VIPルームで一緒に観戦しないか?」
「はい、喜んで」
二人は手塚に付いて行った。
「美也子さん僕は原さんと会って来ます。
一人になってしまいますね」
「大丈夫よ、私はレースを観戦に行くから
平気よ。頑張ってね、亮」
美也子は小さく手を振って行くと
亮はレース場をあとにして
美咲と森たちとの待ち合わせ
場所のくぬぎ荘へ向かった。
「お疲れ様です」
亮は部屋に入ると美咲と二人の男がいた。
「こちらは検察庁の佐川さんです」
「こちらが公安1課の今村さんです」
美咲が亮たちに紹介した。
「團です。よろしくお願いします」
「森です。よろしく」
「伊藤です。よろしくお願いします」
「白石です。よろしくお願いします」
「それでどうですか?」
美咲が亮に聞いた。
「はい、昨日の田中代議士の
録画された映像を持ってきました
あくまで民間人の趣味で盗撮したものです」
早苗は映像をモニターに映した。
「ほう、SMですか?田中代議士は」
佐川がニヤニヤ笑って言うと
「議員のSは結構多い」
今村がつぶやいた。
「あはは、そうなの?」
美咲、冷静に評価する今村の方を見て笑った。
「きょうのレースの売上の一部を水曜日に主催者から
田中代議士に渡します。そのお金を株の
買い付けの資金にするようです」
亮が言うと美咲が聞いた。
「金額は?」
「2億円です」
「凄い金額ですね」
美佐希が0言うと亮は
「それだけじゃありません、
レースを賭博に利用しているようです」
「ああ、なるほど。
それじゃあそっちの上納金もありますね」
佐川が言った。
「実は我々はその賭博を調査していたんです」
今村が言った。
「なるほど」
亮は株取引のトリックを話した。
「なるほどインサイダーね」
美咲が言うと亮は佐川に質問をした。
「それで、立件の方は出来ますか?」
「十分に出来ますね。このまま泳がせて、
水曜日のお金の受け渡し現場を抑えられれば、
過去にさかのぼってインサイダー取引で
得た収益と厚生労働省の認可優遇の
証拠も取れるでしょう」
佐川が答えた。
「團さん後は、私どもに任せてください」
美咲が事務的な口調で言った。
「皆さん良く調べていただきました。
ありがとうございます」
美咲は亮と森に向かって頭を下げた。
「いいえ。私どもは会社の利益の為に
動いただけです。すべて彼女達のおかげです」
亮が答えた。
「そうね、体を張った潜入捜査ですもの。
決して無駄にしないわ」
今村と佐川が頷いた。
「それから、松田さんは警察で保護します。
それから警察は山田組も張りつきました
からもう大丈夫です
美咲が胸を張っていった。
「それで小川所長の方は?」
森が美咲に聞いた。
「今朝、新宿のホテルに潜伏しているのがわかったので
もうすぐ身柄を確保します」
「わかりましたお願いします」
亮が頭を下げた。
早苗と美咲達は松田のいる秋保温泉に
向い亮と森はレース場へ戻った。
~~~~~~~~~
レースクイーン好きのカメラマン達は智子、
明日香の媚薬から放った香りを嗅いで写真を撮っていた。
それをみていた亮を智子が見つけ亮に近づいた。
「亮、いいでしょう」
智子はターンをしてボディコンのコスチュームを見せた。
「うん、かっこいい。記念撮影しましょう」
智子が亮と腕を組んだ姿に明日香がシャッターを押した。
「うふふ」
智子が笑っていた。
そこへ森から連絡があった
「亮、田中たちがVIPルームに入ったぞ」
「森さん、直子さんの音声は入っていますか?」
「ああ、おかげさまで感度良好全部録音しているよ」
~~~~~
「先生、昨日はお楽しみ頂けました?」
VIPルームで森田は田中に聞いた。
「ああ、最高だったよ。この子が特に」
スカートをめくられた直子は太股をなでられていた
「レースが退屈なんでなこの看護師さんに
楽しませてもらっているよ。あはは」
「ほお、これはこれは。いい趣味ですなあ」
森田が田中にゴマをすっていた。
田中は森田に見えるようにスカートをめくり上げ
おもむろに直子尻を触っていた。
「よかったですね。看護師でしたら
誰も変におもいませんからねえ」
「それで、森田君例の物水曜日だいじょうぶだろうね」
「はい、大丈夫です」
森田が答えると少し離れた席に座っていた
手塚が田中の醜態をカメラに撮っていた。
「おかげさまで、入場者、放送、スポンサー
すべて先生のお力で予定通りです」
森田が頭を下げた。
「うん」
「そして上納金もありますから」
森田は田中の耳元で囁いた。
「直子ちゃん、水曜日に会わないか、当面の生活費を渡す」
田中は水曜日に金が確実に入ると分かったので
封筒を直子に渡して言った。
「すみません、水曜日は仕事がありますから
別の日にお願いします」
「そうか。じゃあ、秘書の中山から連絡させる」
「はい」
~~~~~
スタンドに座っている亮のところへ美也子がやってきた。
「亮」
美也子が亮の後ろから声をかけた。
「あっ、美也子さん」
「亮、今田中先生の所へ行ってきたわ」
「どうでした?」
「女性が三人いたわ」
「そうですか?」
亮はにやりと笑うと美也子は亮にウインクをした。
レースが終わり、田中がチェッカーフラッグを
振り表彰式が行われ
智子と明日香が亮のところへ戻ってきた。
「亮、面白かった」
明日香が言うと智子が亮に抱きついた。
「でも、ひどいね。カメラオタクから入場料以外に
撮影料を別に3000円取るからしつこくて。
飲みものも高いし」
「そうか、そうかそれが2億円なわけだ」
亮がつぶやいた。
「なに、何の話?」
智子が聞くと明日香が回りを見渡して亮に聞いた。
「みんなは?」
「VIPルームに行っています」
亮が答えるとそこへ葉子とめぐみが戻ってきた。
「直子ちゃんは?」
亮が聞くと直子は走って戻って来た。
「ごめんなさい、田中先生一緒に東京へ帰ろうって、しつこくて」
「よかった。何も無くて」
亮はホッとして言った。
「大丈夫。アルバイト料を貰った」
直子は嬉しそうに封筒を見せた。
「よかったですね」
亮は直子を抱きしめた。
「どうしたの?」
直子はうれしそうな顔をして亮に聞いた。
「いや、お疲れ様。さて、みんなどうやって帰ろうか?」
亮が言うと離れたところで話をしていた美也子が戻ってきた。
「私は新幹線でお先に」
美也子が先に言うとめぐみは亮に頭を下げた。
「私、実家へ寄って父の仕事手伝います」
「そうですか、試作機が出来ましたら連絡下さい、
そしてめぐみさんが体を張った努力
努力無駄にしません」
「ありがとう亮、仕事が終わったら私を抱いてね」
めぐみは亮の胸元で囁くと、
葉子に向かって小さく手を振ると
葉子はめぐみを元気つけた。
「めぐみちゃんがんばって」
「そうだ、めぐみちゃんがんばれ!」
女性たちが大きな声で言いった。
めぐみをみんなが見送る中レース場の
外に迎えに来ている父親のところへ
涙を拭いながら走っていった。
そして美也子はタクシーに
乗って仙台駅に向かって行った。
「さて、みなさん帰りますか」
「はーい」
亮が声を上げると女性たちは森が
乗ってきたワゴン車に乗り込んだ。
車を運転する亮は助手席に座った
直子に真剣な顔をして話しかけた。
「直子さん、エステサロンやりませんか」
「どうしたの?突然」
直子は亮の横顔を見つめた。
「直子さんはもうすでに看護師で医療従事者だから
勉強をすれば色々な事が出きます」
「はい」
「これから、古文書の解読に時間がかかりますから
出来たら一緒に研究をできませんか?」




